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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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25 マルム ソムニウム

 

 食後、お茶を飲んで一息入れると、それぞれ用意された部屋へ入る。


 モスカールはルーと一緒に、アニスとバーネットは客室を使い、男性軍は、居間にあるソファで寝ることになった。


「主、寒くないですか?」毛布に包まっているので声を掛けると『大丈夫じゃよ。老人扱いせんでくれ』

『どう見ても立派な老人だぜ。兄貴』

『余計なお世話じゃよ』


「グリークは大丈夫なのか?」

『俺はいつも野宿してたから、毛布があれば大丈夫だよ。そういうあんたは大丈夫なのか?』

「思ったほど気温が下がらないから大丈夫だよ」


『今は初夏くらいじゃろうから、毛布を蹴飛ばさないかぎり、風邪は引かんじゃろう。グリークは気を付けたほうがいいがな』

『うるせえ』


「アハハ、言い返されたな」

『フン。野宿生活が長かったから直ったよ』

『それは良いことじゃな』

『ああ、良かったよ』


『おや? あまり大声で話さないほうがいいようじゃよ』シッと指を立ててマーティを見る。

 彼は寝息を立てて、すでに眠りについていた。


『ここに来てからいろいろあったじゃろうから、ゆっくり寝かせてやろう。尋ね人も疲れたじゃろう?』

「そうですね」

『今日はゆっくり休みなさい』主が毛布をかぶると、ロイたちも毛布にくるまった。


 翌朝、といっても日が昇らないので妙な感じがするが、部屋が明るくなり、いい匂いが漂ってくると目が覚めた。


「もう起きる時間なのか?」ロイが眠そうな顔をして起き上がると「おはよう。そろそろ、朝食の支度、できる」アニスが声を掛けてくるので「今何時?」と聞くと壁に掛かっている時計を見て「もうすぐ、九時になる」


「もうそんな時間なんだ。あれ? 主とグリークは?」

「顔を洗い、行ってる」


 その時、マーティが目を覚ました。


「おはよう、マーティ」アニスが声を掛けると「ン? ああ、おはよう」

「大丈夫? ソファだと、ゆっくり、寝られなかった、でしょう?」

「そんなことない。久しぶりに熟睡した」


「僕も、アッという間に起きる時間になったよ」

『ここへ来てから、ずっと緊張しっぱなしだったろう? 神経が疲れてたんだよ』テーブルでセッティングしているモスカールが話に入ってくる。『顔を洗ってサッパリしてきな』


 朝食には、表面は硬いが中はシットリした黒パンと、普通の三倍はある大きな目玉焼きに灰色をしたマッシュポテト。そして、もやしのような野菜が出た。


「昨日のシチューの具もそうだったが、変わったものが出てくるな」マーティが黒パンを眺めると『口に合いませんか?』ルーが心配そうな顔をするので「不味いと言ってるんじゃない。変わった素材のものが出てくると言ったんだ」


『この世界には太陽がないから、育つ植物も特殊な進化をしてるんだよ』モスカールの説明を聞いて「日の光がなくても育つ植物があるのか?」

『魔導師の腕だよ』

「ああ、なるほど。大した腕だ」


 見掛けは変わっていても十分に満足する味だったので、談笑しながらゆっくり食べ、食後のお茶を飲むと、モスカールがこれからのことについて話しだした。


『本当なら、ここで休息する時間を取りたいんだが、今の状況では落ち着かないだろうから、早速、作戦に移ろうと思う』


 異議が出ないので話を進める。


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