24-2 アイテムの秘密
「キーマンが別にいた? それはどういう意味なんだ?」
『マーティは二代目のキーマンということさ。わかりやすく言うと第二継承者かな』
「では、初代キーマンはどうしたんだ?」
『さあ。なにかアクシデントがあって、キーマンを続けることができなくなったんだろう』
「なぜ知らないんだ? 僕たちのことは把握してるんだろう?」
『忘れたのか? 私たちは七十年前からドアの中に閉じ込められてるんだぞ』
「ああ、そうだったな」
「ニゲラは知ってるな」
「そうだな。僕たちのことを見てきた彼女なら知ってるだろう」
「しかし、彼女に聞くことはできない。他に確認する方法はないのか?」モスカールを見ると『私からは何とも言えないね』
「仕方ない。この件は保留だな」
「ところで話を戻すけど、なぜブレスレットなんだ? 第二継承者には引き継いでるものはないのか?」
『もともと第一の門のキーマンはブレスレットを継承してきたんだ。交代したマーティは引き継いでなかったんだろう? だから急きょ、代わりの物を用意しなければならなかった。そして、取りに戻ってくることを考え、マーティの家系を知ってる友人にブレスレットの管理を任せたんだ』
「そういえば、第二の門を出たあと、マルジェス市に戻る車の中で、ゴーツリーが、ブレスレットを貰ったのなら、アルバスたちにも何かしらの役目があるはずだと言ってた。この事なのかもしれないな」ロイを見ると「そういえば、そんな話をしてたな」
「それにしても、ブレスレットを作ったソレルとか言ったか? すごい腕だな。あれだけのものをすぐに作ってしまうんだから」
『金細工師ソレルは、精霊界では有名だよ」
「モスカールは会ったことがあるのか?」ロイが聞くと『何回かあるよ。彼の作品は贈り物にすると喜ばれるからね。それに、作品に妖力を宿らせることができるんだ』
「妖力?」
『持つ者の潜在能力を見抜き、引き出すことができるんだ。だから、士官や官庁のようなところで新人が来たとき、配属先を決めるために、どのような能力を持ってるか、確認で使うこともあるんだ』
「ヘェ、それは便利だな」
「じゃあ、ロイたちも潜在能力が出てきてるんじゃない?」興味を持バーネット。
『尋ね人たちが持つ物には、精霊と会話ができるように、精霊の波動を感知する器官を鋭敏にする妖力が宿ってるはずだよ』
「私たちが持つ物?」
『バーネットが持ってきたサークレットや各門のペンダントも、彼の作品なんだよ』
「そうなの!」自分のペンダントを見て「そういえば、私たち姉妹が初めて会ったとき、それぞれがどのような力を持ってるか、サークレットを付けて判断されたわ。その結果、ディルたちは分解したサークレットを付けて、私はペンダントを授かった。あのサークレットにも潜在能力を判断する妖力が宿ってるのかしら」
『そうだろうね』
「なあモスカール。ニネの指輪も、ソレルの作品なのか?」
『そうだよ』
「どうして?」
『こう言えばわかるだろう。今は彼女が付けている。きっとその指輪は代々引き継がれてるはずだよ』
「そういえば、親父専属になったとき、お師匠様から貰ったと言ってた」
「今は彼女が持ち主だから、ヴィラの中に彼女の像があったというのか?」
『そのとおり』




