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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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21-1 対決

 

 四十分ほど走ると、丘の上に立つツバイチ家の屋敷に着いた。


 エアマスクを着け、車から降りて玄関前に立つと「やっぱでかいな」セージが玄関ドアを見上げる。


 しかし、広い庭には、どこを見ても植物らしいものは見当たらない。コンクリートと砂利だけの殺風景な景色が広がっている。

 それを横目で見つつグレンに案内されて玄関に入ると、ツバイチ家の当主と娘が出迎えた。


 エアマスクを外し「お忙しいところをお邪魔します」アルバスが代表して挨拶すると「お待ちしてました。こちらへどうぞ」当主自ら部屋へ案内する。


 応接室に通されると、見事なばかりの調度品がたくさん置いてあって目がチカチカする。


「こういう金持ちって、いるところにはいるんだな」ボソッと呟くセージ。


 その応接室の中央には豪華なソファセットが置いてあり、二組の父娘が座っていて、ロイたちが近づいていくと、立ち上がって挨拶してきた。


 向かって右側のソファには、(うわさ)に聞くアゴ(ひげ)を生やした恰幅(かっぷく)のいい中年男性と、痩身(そうしん)で長い黒髪の二十代の女性が並んで座っている。


(こいつが統治者か)


 表情が変わるロイに気付くマーティが脇を突つくので、我に返る。


 そして、向かって左側のソファには、服の上からでも相当(きた)えているとわかるほど体格のいい中年男性と、グラマーな二十代の女性が座っている。


 ここの当主は、恰幅(かっぷく)はいいが背が高いため、それほど太っては見えない。

 娘のアーネット嬢はグレンから聞いたとおり、大人しそうに見える控えめな女性だった。


「さあ、お掛けください」ツバイチ家当主に手前のソファを勧められ、並んで腰掛けると、当主が娘のアーネットと一緒にテーブルを挟んで向かいに座り「では、紹介しましょうか」と声を掛けてくる。


「こちらが現統治者のルズロフ家当主で、隣がご令嬢のナスタ嬢」紹介されると、二人は改めて会釈(えしゃく)する。


「そして、彼らの向かいに座っているのがベルナーテ家当主で、隣がご令嬢のエルダー嬢」

「よろしく」低い声のベルナーテが軽く会釈する。


「私たちのことはグレンからお聞きおよびだと思いますが、私がツバイチ家当主で、これが娘のアーネットです」


「ご紹介ありがとうございます。自分たちは宇宙管理局北産業(ファイブ)エリア支局所属、左端からマーティ、ロイ、セージ、私はアルバスと申します」


「今回はご尽力(じんりょく)いただき、ありがとうございます」統治者ルズロフが代表して話を進める。「早速ですが、今回の事について詳しくお話しいただけるそうですが」


「あ、はい……」今まで接してきた態度とまったく違うため、(いささか)か面食らってしまう。


「どうなさいました? 話すのに何か不都合なことがあるんでしょうか?」心配そうに聞く態度に「いえ、そんなことありません」さすがのアルバスも困惑(こんわく)している。


「フム。やはり私はとんでもない事をしたらしいですな」

「エ? いえ」

「お(かく)しにならなくていいですよ。あなた方のお顔を拝見していると、今の私の態度に驚かれてるご様子だ。そのお顔から想像すると、私は相当ひどい事をしたらしいですな」予想を(はる)かに超えていたらしく、頭を抱える。


「ルズロフ、君だけではないだろう。きっと我々全員が(から)んでるに違いない。そうでしょう? みなさん」聞いてくるツバイチ家当主。


「何があったのか教えてください。どうしてこのような事態になったのか、原因をまったく覚えていないんです」キビキビ動くベルナーテ家当主が身を乗り出してくる。


「すみません、ちょっとお時間をいただけませんか? 状況が少し把握(はあく)できないものですから」アルバスが困った顔をすると「わかりました。今、飲み物を差し上げますから、どうぞ楽にしてください」ツバイチ家当主が後ろに合図を送ると、メイドがお茶を運んできた。


 コーヒーのよい香りが漂ってくると、続いてケーキが出てくる。


「私はコーヒーが大好きでして、これは私が淹れました。ケーキは娘が焼いたものです。どうぞご賞味(しょうみ)ください」


 勧められるままケーキを食べると(これは、グレンと行ったお店のチーズケーキじゃないか。じゃあ、あの店のマスターと娘というのは)そのグレンを見ると(あの店で情報交換してたのか。きっと時間を指定して、その時だけ店に立ったんだろう)おいしそうにケーキを食べている。


 

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