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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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19-1 新たな味方


 先程の草原までは虫一匹いなかったのに、こちらの森に入った途端、奇妙な鳴き声や、草むらを走る小動物らしき生き物を頻繁(ひんぱん)に目撃するようになった。


「どうしてこの森だけいろんな生き物がいるんだ?」頭上をコウモリのような生き物が飛んでいくので、ロイがビックリする。

「縄張りでもあるのか?」苦手な虫が足に飛んできて、慌てて払うマーティ。


「モスカール、まだ先なのか?」ロイが、疲れが見えてきたバーネットたちに気づき、確認すると『もうすぐ着くから、あとちょっと、頑張ってくれ』と言うモスカールが前方を指すと、うっすらと明かりが見える。


「こんな気味の悪い森の奥に誰が住んでるの?」バーネットが呟くと『着いたら説明するよ』モスカールが返事をする。


 明かりは、大木の根元に建っている丸太小屋のものだった。

 枝から垂れ下がった何本もの(つた)が小屋の屋根に降りてきて、複雑に絡み合っている。


 その小屋のドアをモスカールがノックすると、少しして『誰?』中から若い女性の声が聞きかえす。

 

『ルー、私だ。モスカールだよ』答えるとドアが少し開き『モスカール姉さん?』戸惑う彼女は、長いシルバーの髪と瞳をした小柄な女性だった。


『ルー、無事だったんだ』ホッとするグリークに、さらに戸惑って警戒しはじめるので『ああ、驚かせて悪かったね。私たちは姿を変えられてしまったんだよ。こんな姿をしてるけど、モスカールとグリークだよ』


『エエッ!』

『そしてグレイターだ』

『ルー、久しぶりじゃのう』

『グレイターなの!』


 中に入ると居間にあるテーブルへ案内され、そこで、モスカールがロイたちを紹介する。

「彼らが尋ね人達だよ」


『本当ですか? ああ、やっと来てくれたんですね。お会いできてよかった』

「あまり良かったという状態じゃないんですけどね」ロイが苦笑すると『彼が尋ね人だよ』

『まあ、大丈夫ですか?あまりお顔の色が良くありませんね』


『みんな疲れてるから、何か甘い飲み物を用意してくれないか?』

『温かいほうがいいかしら?』

『そうだね』


 ルーが奥のキッチンへ行くと、ロイたちに中央テーブルに座るよう勧め、モスカールたちが向かいに座ると、ロイとマーティはアニスとバーネットを間に挟んで座った。


「ねえモスカール。一体どうなってるの? 私たちの知らないところで何が起きてるの?」バーネットが説明を求めると『これから順を追って説明するから』

 少し間を取ると『まず、ここがどういう所なのか説明しよう。ここはマルム ソムニウム(悪い夢)の世界。この中に入った者は、二度と外へ出られないと言われてるんだ』


「なんですって! じゃあ、私たちは一生ここで過ごさないといけないの?」

『心配しなくても大丈夫だよ。入ってきたドアから出られない、ということだから』


「じゃあ、出口はほかにあるのね?」

『そう。知ってる者は数名しかいないけどね』

「もう、ビックリさせないでよ」ホッと胸を撫で下ろす。


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