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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
512/1025

16-2 すでに仕掛けられていた罠

 

「なんですって……」

「おや、急に声が小さくなったよ。どうしたのかな?」


 言葉を返せず黙りこむと「どうしたんだ? 君たちも同じような像を持ってるはずだよ。どうしてその事を黙ってるんだい? もしかして、内緒にするつもりなのかな?」


「なにを言ってるの? そんな像は持ってないわ」

「君は知らないのか。では、そっちの君なら知ってるだろう?」マーティを見ると「君が入ったドアの世界にあったんだからね」


「なぜそれを知ってるんだ!」

「マーティ、どういうこと?」

「あの中に住む魔導師から、テネブリス・オキュリという像を預かったんだ」


「あの像は、大分前に封印の宮殿から持ち出されていたんだよ」

「どういう像なの?」マーティに聞くと「私が教えてあげよう。あの像はどんなものでも大理石に変える力があるんだよ」


「そうなの?」マーティを見ると頷くので「じゃあ戦えるじゃないの! 降伏するなら今の内よ。それとも石になりたいかしら?」


「石にはなりたくないね」

「じゃあ、大人しく降参しなさい」

「いや、私は降参するつもりはないよ」


「ちょっと待て、バーネット」

「何?」

「なぜ俺たちがテネブリス・オキュリの像を持ってると知ってるんだ?」

「さて、なんで知ってるんだろうね」フフッと笑うので「気持ち悪い笑いはやめてよ」


「これは失礼。しかし、笑わずにはいられないんだよ」肩を揺らしてさらに笑うので「自分の愚かさがそんなにおかしいの?」

「私が愚かだって? 愚かなのは君たちのほうだよ」

「なんですって!」


「ところで、さっきから気になってるんだが、君たちは何人だったかな?」

「どういう意味?」

「人数が足らないんじゃないかと言ってるんだよ」


「何ですって?」振り返ると後ろにはアニスしかいないので、マーティが重厚なカーテンをどかしてドア前を見るが「ロイがいないぞ!」

「エエッ! 彼をどこへ連れてったの!」


「アハハハハッ! 気付かなかったのか? 君たちと一緒にここへきた彼は、偽者だったんだよ」


「なんですって!」

「あのロイが偽物だと!」


「話してあげよう、バーネット。君がモスカールと一緒に、彼を捜しに彼が入ったドアの中へ行っただろう? そして、牢の中にいた彼を見付けた。その彼が偽物だったんだよ」


「ウソ!」

「いつから、モスカールたちが一緒に行動してると知ってたんだ?」睨みつけると「さあ、いつからかな?」


「あのロイが偽者だったなんて」愕然(がくぜん)とするバーネット。

「俺たちの行動は筒抜けだったのか」悔しさが込み上げてくるマーティ。


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