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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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15-2 宮殿管理者との対面

 

 部屋の中に入るとロウソクの(あか)りだけなので薄暗く、中の様子がよくわからない。

 目を慣らすためにしばらくドアの前に立っていると、だんだん周りのものが見えてきた。


 ドア付近には古めかしいキャビネットが両脇に置いてあり、ドアから奥が見えないように、仕切りのように重厚なカーテンが掛かっていて、奥から明かりが漏れている。


 そのカーテンをくぐって奥へ進むと、正面に大きな机と、後ろを向いた(ひじ)かけ付きの椅子が置いてある。


「あれ? 誰もいないのか?」ロイが部屋の中央へ歩いていくと「よくここまで来れたね。無事、難関を乗り越えられたことに拍手を送るよ」


 突然、あの声が響いてきた。


「なんだ、いるんですか。せっかくここまで来たのに、顔を出してもらえないんですか?」ロイが部屋の中を見回すと「そんなことはない。ちょっと驚かせようと思っただけだよ」壁に反響して返事が返ってくる。


「驚かせようと? そんな事をする意味があるのか?」気に入らないマーティ。


「ああ、申し訳ないが、ドアを閉めてもらえないか? 外から入ってくる風で、ロウソクの火が消えてしまいそうだ」机近くのロウソクが、風に(あお)られて大きく揺れている。


「マーティ。僕が閉めにいく」後ろにいる彼に声を掛けると「ロイ」横を通る彼に「閉めたフリして少し開けとけ」

「ああ、わかってる」小声で返事を返す。


 再びものすごい音がしてドアが閉まると「みんな、ご苦労だった」後ろを向いた大きな椅子に人影が浮かびあがり、クルッと向きなおるとインサニアが座ってた。

 足を組み、口元に笑みを浮かべている。


「どういうこと? 誰も座ってなかったわよね?」混乱するバーネット。

「落ち着け。ここにも何か絡繰りがあるんだ」声を掛けるマーティ。


「各個人で入ったドアと全員で入ったドア、二つとも難関だったから疲れただろう?」インサニアがゆっくりした口調で話し掛けてくるので「そうね。疲れたわ」バーネットが答えると「そうか。君たちの役目は終わったから、ゆっくり休んでくれたまえ」


「役目? どういう意味だ?」マーティが怪訝そうな顔をすると「君たちのやるべきことは終わったという意味だよ」

「終わった?」

「そうだ。君たちの旅は、ここで終わりということだよ」


「言われた難関を全部クリアしたのに、なぜそんな事を言うのか、納得のいく説明をしてもらおうか」

「私が君たちに終了宣言を出すには、訳があるんだよ」

「その訳とは?」


「言わなくとも、君たちは知ってるはずだよ」

「どういう意味だ?」

「わざわざ聞く必要ないだろう? 私がこの宮殿を乗っ取ってることを知ってるんだからね」


「なんですって!」

「なぜ俺たちが知ってるとわかるんだ」バーネットを押さえて聞くと「さて、どうしてだろうね」ニヤッと笑う。


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