14-2 二枚目の鍵
十段ほど石の階段を降りると、正方形の部屋にでた。
「また石像だよ」
正面の壁の前に、少女の像が立っている。
「ここは石像が好きだな」
「でも、今までのものとちょっと感じが違うわ」違和感があるバーネット。「今まで見てきた石像は、美術館に置いてあるような神話になぞらえたものだけど、この像は、髪型も服装も装飾品も、時代を感じるけど神話ほど古くないわ」
「どう思う?」マーティに聞くと「俺には同じように見える」
「私は、バーネット、同じ意見」今まで黙っていたアニスが口を開く。「この像だけ、別、作られた、思う。何か、意味がある、思う」
「二枚目の鍵の場所を示すために、ワザと違うように作ったんじゃないか?」ロイが違う理由を考えると「違い、わからない人、いる、そんなこと、する?」
「……そう言われると」
「この像、しなければ、ならなかった、何らかの理由、ある?」
「どんな?」
「それ、わかる、悩まない」
「……確かに」
「でも、次、ロイ、持ってきたもの、使う、はず。だから、ロイ、関係ある、思う。 この像、人物、知ってる?」
「エッ? 知らないよ」
「アニス。こんな所にある像なんか誰も知らないわよ。今まで出てきた像だって、誰も知らないんだから」
「とにかく、ここに二枚目の鍵があると言うんだ。さっさと受け取って戻るぞ」
「そうだな。ニゲラ、これからどうするんだ?」
『この像に、あなたが持ってきた指輪を填めてください』
「石像に指輪を填めるのか?」
『填められるようになってますから、大丈夫です』と言われ、ポケットから箱を取り出すと「マーティ、持っててくれないか?」魔導師から預かった、テネブリス・オキュリの像が入ったバッグを渡し、像の前にいくと指輪を填めていく。
「バッグの中、石の箱、何?」
長方形の箱が大きいのでファスナーが閉まりきらないため、箱の上部が見える。
「俺が入ったドアの中の世界に住んでる、魔導師と呼ばれる人物から預かったものだ」簡単に内容を話すと「そう、不思議なもの、ある」興味のない声で言い返す。
ロイが指輪を填めおわると像の後ろ側の壁が開き、石像が奥へ引っこんでいく。
この後どうなるのか、固唾を飲んで待っていると「マーティ、靴の紐、解けてる」アニスが彼の右の靴を指し「バッグ、持ってる、縛ったら?」手を出すので「悪いな」彼女にバッグを預けると、しゃがんで紐を結びはじめる。
それから少しすると、石像が戻ってきた。
「何か持ってるぞ」石像が止まるのを待ってロイが近づくと「二枚目の鍵だ」手に取って戻ってくる。
「今度こそ本物だろうな?」マーティが鍵を見ると『本物です』とニゲラが答えるので、ロイはマーティからバッグを受け取って中に入れると「さあ、次は宮殿の責任者のところへ案内してもらうぞ」
『わかりました。それでは、ドアの部屋へ戻りましょう』降りてきた階段のほうへ飛んでいく。




