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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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13-1 特別なドアの部屋

 

 長い石造りの廊下を歩いていくと、左側に中庭が出てきた。


「ここはけっこう日差しが強いな」(まぶ)しそうに空を見上げるマーティに「今まで薄暗いところにいたからそう思うのよ」バーネットが振り向いて声を掛ける。


 少しすると、中庭に降りられるように数段の階段がついた場所があり、その正面に、広い庭を突っ切るように一本の道が通っている。


 そして、その先には小さなヴィラが建っていて、ニゲラはその建物に向かってフラフラと飛んでいく。


「あそこが次の場所なのか?」ロイが聞くと彼女は近くの柵にとまり『そうです』と答えるので足を止め「あの中で何をするんだ?」

『何もしません。あそこは入り口です』


「入り口? どこへ行く入り口なんだ?」

『それは、入ってから説明します』

「また何かありそうだな」マーティに振ると「なきゃおかしいだろう」と返す。


 ヴィラの入り口に着くと『第一の門のキーマンの方。あなたが故郷へ戻ったとき、影の森の精霊から新しく貰ったブレスレットを、ドアの左側に刻まれてる彫刻の右脚に填めてください』


 そのドアは石灰(せっかい)のように白く、(つや)のある一枚岩でできており、一対の一角獣が向き合って彫られていて、両扉とも左右の前脚が取っ手のように(つか)めるようになっている。


「これがこの扉を開ける鍵なのか?」マーティが右腕のブレスレットを見せると『そうです』と答えるので「それはおかしい」反論する。

「これは、さっき入ったドアの中にある、二枚目の鍵を取るために必要だった物のはず。それが、なぜここの鍵になるんだ?」


『それらはあなた方の認証代わり、と言えば納得してもらえますか?』

「身分証明書のようなものだと言うのか?」

『そう解釈されても構いません』

「では、そう解釈する」

『それでは填めてください』


 マーティは右腕に填めているブレスレットを外すと扉の前にいき、扉の左側の彫刻の右脚に填めるとその脚が上がり、扉が内側に開いていく。


「脚が上がって勝手に開くのか。先に言ってくれ。驚くだろう」脚が上がっとき、蹴られるのではと思い身構えてしまった。


 中に入るとヒンヤリとした空気が(ただよ)っていて、なにもかもが眠りについているように静まり返っている。

「静か過ぎてちょっと恐いわね」首を(すく)めるバーネット。


『それでは、部屋の中央に描かれているサークルの中へ入ってください』

 先に飛んでいくニゲラが降りた床の上は、色の違う石が円形に敷き詰められている。


 ロイたちはゆっくり歩いていき、円の外側に立つと「何が出てくるんだ?」

『ここから中に入るんです』

「中に?」


「どんな所なのか、連れてってもらおうじゃないか」とマーティが言うので、円の中に入ると足元の床が光りだし、あまりの(まぶ)しさに目を開けていられず、目をつむる。


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