11 アニスの救出 一応完了
『ロイ!』嬉しそうな声を出すシュール。
「あら、今回は早かったわね」かなり酔いが覚めたバーネットの口調が、いつもどおりに戻っている。
マーティとアニスが出てくるとロイはドアを閉め、アニスが鏡を取りはずす。
「何か変わったことは?」バーネットたちのところへ行くロイが確認すると「大丈夫。まだ何も起きてないわ」
『アニス、無事だったんだね』嬉しそうにシュールが声を掛けるが、バーネットは様子がおかしいことに気付き、傍へいくと「私、最後、だった」まったく表情を変えないので「ロイ?」不安そうに彼を見ると「遅かったよ。人格破壊を起してしまってた」
「そんな! 間に合わなかったの?」悲しそうにアニスを見ると「あれだけ頑張って治してきたのに……」
『ロイ、治らないの?』心配なシュール。
「バーネットに任せるしかない」
『バーネット、治るでしょう?』
「詳しく診察してみないとわからないけど、絶対、元のアニスに戻すから」冷たい視線を送る彼女を見て「約束したの。二人で頑張ろうって」
『私も手伝う。元のアニスと話したい』
「俺たちも、できることがあれば何でもやる」
「もちろん」同意するロイ。
「みんながいれば大丈夫よ。絶対良くなるから」表情を変えないアニスを見る。
「では、こっちの話を進めよう」ロイが話題を変えると「そうだな。とにかくみんな戻った。これから先のことを考えよう」暗い雰囲気を消すようにマーティが話しはじめる。「まず、ニゲラに鍵のことを問い詰める必要がある」
「そうだな。みんなのところに鍵があるというのは話が違うから、なぜウソを吐いたのか、理由を聞く必要がある」
「あんなに、苦労して取った、のに、騙された?」肩掛けバッグから鍵を取りだして床に投げ捨てるので、その鍵を拾うマーティが「なぜこんな事をするのか、冗談にしては性質が悪すぎる。下手したら命を落としてたかもしれないからな」
「確かに」ロイが剣を身に付けると「案内役が未熟で迷惑を掛けた」突然、聞きなれない声が部屋の中に響いてきた。
「誰だ!」マーティが部屋の中を見回すと、バシッ!と何かを叩く音がするので「何の音だ!」ロイとマーティがアニスとバーネットの前に立つ。
『ンンッ?』
『ロイ! ニゲラが目を覚ましたよ!』
『私……アッ!』気が付くと、ヨロヨロしながら立ち上がる。
「お前の説明が足らなかったので、尋ね人たちが怒ってしまったじゃないか」
どこにいるのか、声が部屋の中に反響しているのでわからない。
すると、声を聞いたニゲラが我に返る。『インサニア様!』




