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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 旅の始まり
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3-1 予言者の修行場

 

 入園に政府の許可が必要な特別国定公園の奥地、切り立った三千メートル級の山々に囲まれたところに予言者の修行場がある。


 ロイは公園のメインゲートから入ると山麓(やますそ)に広がる森の中を通り、関係者以外立ち入り禁止のゲートを入ると、さらに奥へ進んだ。


 道なりにいくと深緑色の石柱の手前で車を停め、柱に(きざ)まれているゴブリンのような生き物の額に手を当てると石柱が二つに割れて、さらに奥へ続く道が現れる。


 月明かりでうっすらと浮かびあがる森の奥へしばらく進んでいくと古めかしい棟が見えはじめ、幾つかの棟を通り過ぎると、一際(ひときわ)大きな棟の前で車を停める。


 車から降りてその棟へ向かっていると、入り口のところに、グレーのマントを羽織ってフードをかぶった小柄な老婆が、こちらを向いて立っていた。


 近づいていくと「お待ち致しておりましたよ、ロイ様」と声を掛けてきた。


「どうして僕の名を?」立ち止まると「私でございますよ」老婆がフードを取る。

「お師匠様!」


「お久しぶりでございますね。お元気そうでなによりですよ」


「こちらこそご無沙汰(ぶさた)しています。お会いするのは何年ぶりでしょうか。お師匠様もお元気そうでなによりです」


「ニネはちゃんとお勤めしておりますかね?」

「もちろんですよ。とても優秀だと父が褒めてますから、心配なさらないでください」


「そうですか。それは良かったですよ」シワクチャな笑顔を見せると「さあ、お入りくださいね」中へ招き入れる。


 玄関を入った部屋は天井が高く、かなり広い。


「懐かしいな。この中に入るのは何年ぶりだろう」


 床には古めかしい絵柄のカーペットが()かれ、骨董品(こっとうひん)と呼べるくらいの調度品が壁際(かべぎわ)に置かれている。


 部屋の奥には左右と奥へ続く石畳の廊下があり、お師匠様はまっすぐ奥へ歩いていく。

 両脇の壁にはガラスのランプが点在し、異国に来たような雰囲気を(かも)しだしている。


(そういえば、この先に行くのは初めてだな)


 見回しながら歩いていると、ふと妙なことに気付いた。

 音である。

 自分の足音しか聞こえてこないのだ。


(お師匠様は、冷たい石の廊下を素足で歩いてるのか?)


 長いグレーのマントを羽織っているので、足元が見えない。

 ロイは部屋へ着くまでその事を考えていた。


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― 新着の感想 ―
花火から、いきなりの石化。 犯人は、強大な組織かもしれない。広大な宇宙の様々な星々を巡る冒険。 こういう長期的な話は、大好物です!序盤の石化現象から、それに対する対応も自然と読み進める事ができました…
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