表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
49/1021

18-1 計画変更

 

 翌朝のミーティングは大騒ぎになった。なにせ土壇場(どたんば)での作戦変更。戸惑うのも無理はない。しかし、アルバスとセージが指示を与え、動揺を抑えた。


 ミーティングが終わった会議室には、ロイ、マーティ、アルバス、セージの四人が残り、会議を続けていた。


「それにしても、おとぎ話に出てくるような花が存在するなんて、いまだに信じられねえ」

「無理もないよ。絵空事のような話だから、体験しても納得するのは難しいよ」そういうロイも、まだ疑っているところがある。


「しかし、ロイの妹はどこでそんな花の存在を知ったんだ?」アルバスが感心するように話を振ってくるので「妹?」戸惑うと「植物に関してかなり詳しく研究してるらしい。どこか有名な研究所に勤めてるんだろう?」マーティが慌ててフォローするので「エ? あ、ああ、そうなんだ」


「勉強家なんだな。では、ロイは夕方にグレンを連れてきてくれ。それまでに準備を済ませておく」席を立つアルバスが「セージ。研究室の内装を考えるから手伝ってくれ」声を掛けて一緒に出ていく。


『私はロイの妹なの?』

「そのほうが(うたが)われずに話を進められたんだ」

「先に、どう話したが聞いとくべきだった。いきなり振られてボロを出すところだったよ」

「悪いな。昨夜は遅くまで話し込んでたから、ミーティング前に話そうと思って忘れてた」

「いいよ。あとは、事がうまく運べるように、余計なことが起こらないよう祈るだけだ」


 時間を見計らい、グレンに連絡を入れて花の詳細がわかったと告げると、彼は喜んで艦に来ることを承諾し、待ち合わせの時間と場所を決めると電話を切った。


 それに(あわ)せて研究室の準備が急ピッチで進められたが、このような展開になるとは思わなかったので、設営(せつえい)が大変だった。

 研究員役を決めたり、花を植えるための道具を艦内の倉庫から探したり、それらしい資料を用意したり。


 数時間後、何とか研究室らしい部屋が完成すると、ロイは約束した場所でグレンと落ち合い、艦に連れてきた。


「これは立派な艦ですね!」予測していたものと大分違っていたらしく、面食らっている。

「長旅なものですから、不測の事態に備えるためと、社員に不便を感じないよう配慮(はいりょ)してあります」

「そうなんですか。母体はさぞかし大きな会社なんでしょうね。しかし、大型の戦闘艦で移動されているなんて思いませんでした」

「宇宙を動くには様々な危険がありますからね。用心のためもあります。では、支社長と支部長を紹介します」


 艦に入ると支社長室と電子版に表示されているドアへ案内し、インターフォンを鳴らして中に入ると、スーツを着た男性が二人、待っていた。


「支社長のマーティと支部長のセージです」


「ようこそグレンさん。お待ちしてました」正面の机に座っているマーティが声を掛けると、隣に立っているセージが「お忙しいところを、お越しいただきありがとうございます」笑顔で話し掛ける。

『セージの口調がいつもと違う』シュールが呟くので苦笑するロイとマーティ。


「この度はご協力いただきまして、ありがとうございます。」丁寧に頭を下げるグレンに「どうぞ、お掛けください」セージが手前のソファを勧めると「では、失礼します」また一礼して勧められた場所に腰掛ける。


 マーティが右脚を引きずりながら歩いてくるので「脚をケガされてるのですか?」

「見苦しい姿をお見せしてすみません。先日、階段から足を踏み外してしまい、この有様です」ウソの弁解をしてソファに座ると「それは災難なことですね」気の毒そうな顔をする。


 各自がソファに座ると「では、グレンさん。例の球根を見せていただけますか?」マーティが声を掛けると持ってきたアタッシュケースから小箱を取りだし、蓋を開けて中を見せる。

 そこには、赤いビロードの布に包まれた、握り(こぶし)くらいの真っ白い球根が収まっていた。


『間違いない。フォーテュムだよ』シュールの声が頭の中に響く。


 剣は、テーブルの上がよく見える正面の壁に飾られていた。


「確かにフォーテュムですね」マーティが説明を始める。「この花は大変珍しく、今もって生息地が不明なんですよ。ある探検家が偶然に見付けたものらしく、なかなか本物を見ることができないそうです」


「この花はフォーテュムというんですか。そうですか。生息地がわからないんですね」ガッカリするので「とにかく植えてみましょう。研究室に用意させてますので、セージが案内します」

「では、グレンさん。こちらへどうぞ」


 セージが連れていくとロイは壁から剣を取り、彼らのあとを追って出ていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ