2-2 戦利品を持ってきた酔っ払い
「参ったわぁ。ここまでぇ、酔っ払うなんてぇ、久しぶりだわぁ」剣の横に座り込むので「あれほど注意されたのに、また飲むからだぞ」ロイが注意すると「だってぇ、本当にぃ、美味しいんだものぉ」
「とにかく、これからマーティのところへ行ってくるから、その間、ここで酔いを覚ますんだ」
「そうするわぁ。ニゲラをぉ、このままにぃ、しとけないしねぇ」フラフラになりながらも、目の前に横たわって寝ているニゲラを見る。
「シュールも、一緒にニゲラを見ててくれ」
『ヤダッ!』
「シュールがここにいなかったら、僕たちが動いてることがバレてしまうだろう?」
『……ウー』
「今回は宮殿の案内役が一緒だから、すぐに戻ってこれるよ」
「そうだぁ。モスカールたちはぁ、どうしたのぉ?」
「僕が持ってる鏡の中に入ったよ」
「あらぁ、そうなんだぁ」
「ああ、そうだ。モスカールに、バーネットが戻ってきたら、ドア裏に付いてるコンパクトを外すよう言われてたんだ」
ロイはフラフラするバーネットを連れて代償の世界のドアまで行き、扉開けると中に入り、ドアを閉める。
「バーネット。足元気をつけろよ」数段の階段があるので注意すると「あらぁ、そうだったわぁ」と言いつつ足を踏み外しそうになるので慌てて支え、バーネットがコンパクトをゆっくり外すとドアを開け、シュールのところへ戻ってくる。
再び剣の横に座らせると「無くさないようにバッグにしまって」
「わかってるわよぉ」ゆっくりと小さな肩掛けバッグに入れる。
「それじゃ、マーティのところへ行ってくるよ」
『魔術みたいなもので石にしちゃう人のところにいるみたいだけど、大丈夫?』心配なシュール。
「大丈夫だよ。マーティを取り戻すための取引も、相手が欲しいものを持ってるから時間は掛からないよ」
『それって、バーネットが住んでた星の果物だっけ?』
「そう。他にも用意してあるし、魔導師のことを知ってる案内役もいるから、マーティを取り戻せるよ」
『案内役の人が知ってるんだ。じゃあ大丈夫だね』
「とにかく、早くアニスを迎えにいかないといけないから、なるべく早く戻るようにするよ」
『アニス、大丈夫かな?』
「入り口近くで留まっててくれるといいんだけど」
『……そうだね』
「無事だってぇ、思うしかぁ、ないわよねぇ」酔っていても心配なバーネット。
「とにかく行ってくるよ」
バーネットが持ってきた果物が入った布袋を肩に掛け、マーティが入った石のドアへ向かう。




