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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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1-3 酔っぱらった頼みの綱

 

 ニゲラが一羽で戻ってきたので『バーネットはどうしたの?』所在を確認するシュールに『隣の部屋で寝てます』

『寝てる? もしかして、酔っ払って寝ちゃったの?』

『そうです』

『まったく、しょうがないなあ』


『起きたら戻ってくるでしょう。相当疲れてるようでしたから』

『そうだね』納得すると『でも、どうやってメインのドアを開けたの?』

『私でも開けられるように、仕掛けが付いてるんです』

『そうなんだ』


『それにしても、他の人達は遅いですね』

『難関を越えるのが大変なのかもしれない』

『そうかもしれませんね』

『でも、時間制限はないんでしょう?』


『ありませんが、いつまでも皆さんが戻ってくるのを、ここで待ってるわけにいきません。あなたは先へ進まなければならないのですから』

『みんなを置いてくことはできないよ!』


『しかし、彼らが戻ってこないのであれば、仕方ないのではありませんか? 先ほど話したとおり、ドアの中の世界はここと時間の経過が違うんですから』


『……どうしろと言うの?』

『最初に戻ってやり直すとかなり時間をロスしますから、ここで別の尋ね人達に引き継ぐんです』

『ここで? 別の尋ね人達って誰?』

『これから会わせます』


『でも、ロイたちを置いてきぼりにできないよ。みんな必ず戻ってくると言ったんだから』

『あなたが最後まで行ければ、彼らを連れ戻すことができるんですよ』

『なんで?』

『最後まで行ければ、あなたは自由になれますから』


『そうだった。でも、その間にみんなが出てくるかもしれないから、誰かいてくれないと』

『手配しておきますから、心配いりません』

『で、どうするの? 私は一人じゃ動けないんだよ』

『私が運びます』

『エッ! 無理だよ』


『大丈夫です』ニゲラの脚は鷹のように太くてガッチリしてるので、立て掛けてある剣を片足で掴むと『アッ、ドアが開いた!』

『エッ?』ニゲラが振り向いたとき、バリバリバリッ!『ギャア!』すごい悲鳴を上げてその場に倒れる。


『……ちょっと強くやり過ぎたかな?』

 しばらくニゲラの様子を見ていたが動かない。


『ロイ! 大丈夫だよ!』声を掛けると、代償の世界の黒い半分に折れたドアから出てくるので『バーネットが戻ってこないの』

「やっぱり、彼女を一人で行かせたのは間違いだったな」困った顔をして鏡の部屋に通じるメインのドアを見る。


『あの状態だと、当分戻ってこないと思うよ』シュールが心配そうに言うので「……だろうな」言ったこっちゃないと頭を抱える。


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