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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 幻想の星
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37-2 事件の調査

 

「……彼の荷物はどうなったんですか?」

「翌日、警察が取りに来られました」

「その時、何か言ってましたか?」

「殺人罪で逮捕したので、所持品を取りにきたとおっしゃってました」


「逮捕したと言ったんですね?」

「はい、そうです」

「取りにきた人は刑事でしたか?」

「いえ、警官でした」

「本物でしたか?」

「エッ?」


「警察手帳を見せましたか?」

「警察手帳?」

「いえ、警察である(あかし)を提示しましたか?」

「あ、はい。ちゃんとライセンスカードをお持ちでした」


「そうですか」ホッとすると「その警官はどんな人でしたか?」

「エッ、どんな?」

「髪型とか体形とか」

「あの、その人が何か?」


「いえ、所持品を取りにきたのなら、きっと事件を担当してる班の人だと思うので、詳しい話を聞きに行きたいんです」

「ああ、そうですか。あの時来られたのは、ガッチリした体格で長身の方でした。とても温厚な方で、終始笑顔を絶やさない方でしたね」


「髪型はどうでした?」

「帽子をかぶってらしたのでよくわかりませんが、かなり短かったと思います」


「何か、特徴はありませんでしたか?」

「そうですね。両手に包帯を巻いてました。なんでも、恋人に大量のバラをあげようといろんなお店で買いこんで、束にしようとしたとき、トゲがあるのを忘れて掴んでしまったとおっしゃってました」


「一体、どれだけのバラを買ったのかしら?」

「さあ。かなり大柄な方でしたので、きっとすごい量だと思います」

「恋人も大柄ならいいけど。そうでなければ持ちきれないわ」

「ハハハ、そうですね」


「他に、何か変わったことはありませんでしたか?」

「変わったことはありませんでしたが、気になったことはあります」


「どんな事ですか?」

「普通、殺人事件が起きた場合、容疑者の行動を調べますよね? でも、翌日来たその警官の方以外、誰も来ませんでしたし、その方も、お客様について一言も聞かれなかったんです」


「それ、本当ですか?」

「はい。ですので、お客様のことをお話しなくていいのですか? と(たず)ねたところ、すべて自供したので、確認する必要がなくなったと言われたんです」


「その理由もおかしいわ。普通、証言した裏付けを取るはずよ」

「私もそう思いましたが、警察の方がそう言われるのであれば、それ以上、こちらから何か言う必要はないと思いましたので」


「借りた部屋は捜索したんですか?」

「いいえ」

「ますますおかしいわね。借りた部屋に何か隠してるかもしれないと思うはずよ」

「私も、ご案内しますと申し出たのですが、時間もないからとおっしゃられて」


「時間がないと言ったんですか?」

「現実はドラマのようではないと思いますし、いろんな捜査パターンがあると思いますので、こういう事もあるのかと」

「こちらのほうが、ドラマのような展開だわ」



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