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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 幻想の星
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36 モスカールと合流

 

 翌日。

 午前十時過ぎに起きると遅い朝食をとり、早速、モスカールを捜しに町中へでた。


「こんなに大きな町だと、無闇に捜してたら見付けられないわね。どうしたらいいかしら?」


 いろいろと案を模索すると、最初に連れていかれた役所へ行き、担当者に、モスカールの代償の仕事場がどこかを聞いたほうが早いという結論に達した。


 道すがらおいしそうなお菓子を売っている店に入り、手土産用にクッキーをいくつか買うと「ケガ人の手当ての代償としてもらったお金だから使いづらいと思ってたけど、こんな所で役に立ってくれるとは思わなかったわ」


 お土産を持って歩いていると、目の前でお金持ちふうのご婦人が馬車から降りるところを目撃し、入れ違いに乗りこむと役所へ向かった。

「この世界のお金を持ってなかったら、動きづらかったわね」


 馬車に揺られながら「私たちの世界では、こんな体験できないわ」と思いつつ外の景色を見ているとしばらくして役所前に着き、お金を払うと、立派な表門から中に入る。


(来たときは裏から入ったから、エントランスが豪華だなんて思わなかったわ)


 受付で理由を話してここへ来たときの担当者に会い、モスカールと連絡を取りたいと伝えて手土産のクッキーを渡すと「銃の訓練所にいますよ」と教えてくれた。


「なかなかの腕前らしいので、講師として働いてもらうことになりました」

(そういえば、自由な世界にいたとき、自分の身は自分で守れと銃を渡されたわね)

 納得すると場所を教えてもらい、早速向かうと受付でクッキーの箱を渡し、モスカールを呼んでもらった。


『バーネット!』

「カール! 会えてよかった」

『昨日捜したんだよ。今日の仕事は?』

「休みよ」


『休み? 二日やれば移動できるのに?』

「ちょっとあってね」

『何かあったんだね? 話を聞きたいけど、今抜けられないんだ。お昼まで待っててくれないか?』

「ええ。じゃあ、向かいのカフェで待ってるわ」


 お昼過ぎにモスカールが入ってきて、席に着くとランチを頼む。

『なんとか彼の足取りを(つか)めそうだよ』声を潜めて話し掛けてくるので「もう見付けたわ」

『エッ!』

「シッ!」


『アッ、悪い。で、本当に見付けたのか?』

「ええ。でも、厄介な問題があるのよ」ロイの状況を細かく話すと『過失の殺人者として牢に入れ、記憶変換の対象者に仕立て上げたのか。なるほど、うまい手を考えるね』


「責任者のお爺さんの話では、役所から書面が回ってきてるから、牢から出すのは不可能だって言うのよ。何か助けだすいい方法はない?」

『そうだね……とにかく、今は彼の意識が戻るまで動けないね』

「そうね」


『どうして彼が牢に入ることになったのか。原因となった事件を調べないといけないな』

「詳細が知りたいわね」


『新聞を調べるのが一番早い。殺人事件となれば必ず載ってるからね』

「早速買って調べるわ」


『奴の手下は私たちが動いてることを知らないはず。できるだけ気付かれないように動くんだよ』

「わかってる。じゃあ、詳細がわかったら連絡するわ」

 二人は連絡先を教えあうと、店の前で別れた。


 その後、バーネットは近くのお店で新聞を買い、端から見ていと、最後のほうに続報として事件のことが小さく載っているのを見付け、ロイが泊まっていた宿屋の主人のコメントが載っていたので、住所を確認すると早速向かった。


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