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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 幻想の星
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33-1 割り振られた仕事

 

「私は罪人の世話をするんですか?」案内役に聞くと「そうです。彼らの健康状態を診ることが、あなたの仕事です」


 冷たく、()()えとする石の通路をさらに進むと、医務室、と書かれたドアの前で止まり、ノックすると、中から白髪で小柄な老人が顔を出した。


「今日から働くことになった医者のバーネットさんです」案内役が紹介すると「ああ、やっと新しい医者が来たかね。よかった、よかった」

「では、先生から仕事内容を聞いてください」と言って案内役は帰っていった。


「さあ、入ってくれ。廊下は冷えるからのう」

 中に入ると暖房が効いていて暖かい。

「お爺さんは、一人でここの患者を診てるんですか?」荷物を椅子の脇に置くと「昨日まで三名おったが、期限が来てのう」

「そうなんですか」


「明日になれば、また誰か来るじゃろうよ」

 お爺さんは温かい飲み物を入れてくれて、ここでの仕事内容を話してくれた。

「一日はこんな具合になっとるで」

「では、新しい医者が来るまで、二交代制ですね?」


「そうじゃよ。カルテはそこの棚に入っとるでな」古びた棚を指すと「わしは、午後十二時になったら帰らせてもらうよ。交代は午前0時じゃから」

「十二時間労働はきついわね」

「今日だけじゃよ。あんたには特別手当を支給するよう、手配しといてあげるよ」

「それは嬉しいわ」

「では、一通り中を案内しようかね」飲み終わると、一階から順に説明してくれた。


 ここは刑期の日数によって階が分かれていて、軽い者は一階に、上に行くほど刑期が長くなっている。


「ここで終わりじゃよ」

「でも、まだ上があるわ」上に続く階段を指すと「上の階におる者は無期刑の者じゃからね。彼らの世話はわしがやるから、あんたはせんでいいよ」

「そうですか」


 一階に戻ってくると、今度は地下へ降りる階段を見付けた。

「この下には何があるんですか?」

「記憶を変換する者がおるよ」


「エッ!」大声を出し、慌てて口を押さえると「どうしてそんな事をするんですか?」

「自分が犯してしまった事を忘れて、新しい人生を生きるための治療じゃよ。主に、過失で罪を犯してしまった者が対象じゃがね」

「ここでは、そんな事までしてるんですか」

「働き手を失うと国が潰れてしまうでな。それに、彼らにも、やり直す機会を与えてやらにゃあいかん」


「そうですね」

「我々は不完全じゃから、どこかで救いの手を差し伸べてやらにゃあ、潰れてしまうからのう」

「本当に、おっしゃるとおりだと思います」

「ホゥ、あんたも賛同してくれるかね」

「はい」


「それは良いことじゃよ。きっといい医者になれるぞ」

「ありがとうございます。ところで、記憶の変換はこの国だけで行われてるんですか?」

「いや、各国で行われとるよ」


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