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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第八章 幻想の星
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27-1 反撃の第一歩

 

「戻ってきたわよ!」

『バーネット!』

「た、ただいま、シ、シュール!」


 ビックリした顔をして見上げるニゲラに「ち、ちょっと! も、戻って、き、きたんだから、は、早く降ろしてよ!」高さを思い出して恐怖が(よみがえ)る。


『あ、ああ、そうですね。では、ドアを閉めて鏡を外してください』


 モスカールに言われたことと同じことを言われ「し、閉めるのよね」ゆっくり振り向くとドアに手を掛け、中にいるモスカールに小さく頷くとドアを閉め、ゆっくりコンパクトを外す。

 すると、音を立てて四方から伸びていた横柱が引っこんでいくので「動くなら先に言って!」足元の横柱にしがみつく。


 その後、バーネットがしがみついている横柱の下の床が柱のようにせり上がり、横柱の下に付くと、バーネットがいる部分が下に降りていき、部屋の床に戻る。


『本当にここは絡繰り部屋だね。誰がどこでどう操作してるんだろう?』マジックショーを見ている気分のシュール。

 一方「ああ、やっと、降りられたわ……」本当にホッと胸を撫で下ろすバーネット。


『バーネット、お疲れ様でした。大変だったでしょう?』(ねぎら)うシュールに「ええ。ひどい目に遭って、寿命が十年縮んだわ」塔登りの恐怖が(よみがえ)ってくるが「でも、収穫はあったわよ」バッグから鍵を取り出して見せる。


『バーネットのところにあったんだ!』嬉しそうに声を上げるシュール。

『そう、ですか。ご苦労、様でした……』焦りを必死で隠すニゲラ。『よく無事に、戻ってこられましたね』

「当たり前よ。持ってきたフルーツをまだ食べてないんだから」


『う~ん、バーネットらしい理由だ』

「ほっといてちょうだい!」

『そういえば、すごいお婆さんに会わなかった?』

「会ったわよ。でっぷり太った、病気満載の姑息(こそく)な手ばかり思いつく、意地の悪い婆さんにね」

『世話をしてくれないと、鍵がある場所を教えてくれないと言ったでしょう?』


「なんでシュールがそんなこと知ってるのよ!」

『ニゲラに聞いたんだ』

「ニゲラに? じゃあ、最初から会うと知ってたの!」メインドア横に立っている石像の肩にとまっているニゲラを見ると『もちろんです』アッサリ答える。


「なんで入る前に教えてくれなかったのよ! 大変だったのよ!」

『あのお婆さんよりも、塔の昇り降りのほうが大変ではありませんでしたか?』

「な! なんでその事を知ってるのよ!」

『前に、あなたたちのことを調べたと言いましたよね?』


「……ずいぶんと、意地悪なことするのね」額に青筋を立てると『私は何もしていません』

「そうよね。自分で選んだのよね」ムッとすると『ねえ、どうやって鍵がある場所まで行ったの?』とシュールが聞いてくる。


「ニゲラから、私が入ったドアの中がどんな所なのか聞いてるんでしょう?」

『うん。自由な世界だって』

「ええ、ええ、とても自由な世界だったわ! 何をやっても許される所だったんだから!」

『やっぱり大変だったんだ……』


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