15 枯れそうな星
七月十七日。
作戦決行の朝九時。
コントロール室横の作戦会議室には、メンバー全員が揃っていた。
アルバスが作戦内容を確認する。
「今日の午前十一時にオーチカムのスペースエアポートに入港する。滞在期間は二十日間。
政府機関とのアポは一週間後だ。それまでに官庁の警備システムを調べておく。
それと、余程のことがないかぎり、偽オフィスに来ることはないだろうが、万一、来ることになったときを想定して、シミュレーションしといてくれ。
ああ、俺たちは面が割れてるから、変装しとけよ。
それと、くどいようだが、加減して動け。二人ともケガ人だということを忘れるな」
セージは再検査の結果、大事には至らないが、しばらく治療が必要だと診断が出ていた。
「ロイは営業用のスーツを買うんだったな。ついでに統治者の噂も拾ってきてくれると助かる。因みに、剣の持ち込みは禁止だ」
午前十時半、着陸するため、大気圏に突入するとアナウンスが入った。
その大気圏を抜けて最初に目に飛び込んできたのは、灰色の海だった。
薄汚れて霞んだ空気。建物ばかりで緑地帯がない大陸。
メガロポリスにしては、あまりにもひどい状態だった。
そして、レジーナ・マリス号は、予定時刻に海岸線に沿ってできたスペースエアポートに着陸した。
ロイは入星チェックをパスし、メインデッキの内側から外を見ると、遠くの景色が霞んでぼんやりと見える。
「隣の系星を開発する前に、自分の系星をどうにかするほうが先じゃないか?」
『なんか、枯れそうな星だね』ため息交じりのシュール。
「枯れそうか。確かにな。それにしても、よくこんなに小さくなれるな」
ペンダントヘッドの大きさで、鎖に繋がれて首からぶら下がっている剣を持ち上げる。
『ちょっと窮屈だからイヤなんだけど、仕方ないから我慢してる』
「一体、どんな金属でできてるんだ?」
『人間界にない物質だから、説明できない』
「だろうな」
その後、大勢の人が行きかうエアポート内を通り、外に出ると目がしょぼつき、喉がいがらっぽくなって咳込んだ。
「こんな空気の中、みんなどうしてるんだ?」
エアポート内に戻って出ていこうとする人達を見ると、顔全体を覆うプラスチックのような透明マスクを着けていたので「あれは何だ?」不思議に思い、近くを通りがかったサラリーマン風の男性に声を掛けて聞いてみた。
「これはエアマスクですよ。付属の浄化器が外気をきれいにして、このチューブからマスク内に供給してるんです。売店で売ってるので買ったほうがいいですよ。でないと、目や肺をやられてしまいますからね」と言われ、売店を探して購入したが、着け方がわからないので売店の女性に手伝ってもらい、浄化器の操作も教えてもらった。
「この星はかなり病んでるな」
とりあえず外に出られるようになったので、シャトルバスに乗って市内へ向かった。




