19-1 ドアの部屋の正体(マーティ編)
さて、ドアの部屋に残ったシュールは『ロイたち、大丈夫かな?』
『心配ですか?』ニゲラが聞いてくるので『当たり前でしょう! 今回は、行く先がどんな所なのかわからないんだから!』
『そうですね』
『ねえ、みんなが入ったドアの中はどうなってるの?』
『知りたいですか?』
『もちろん』
『では話してあげましょう。最初に入った第一の門のキーマンのドアの中は、狭い世界です』
『狭い世界? 世界ってどういうこと?』
『各ドアの中には、それぞれ違った世界が存在してるんです。そして、そこにはそれぞれの世界に合った者たちが住んでいます』
『じゃあ、ドアの数だけ違う世界があるってこと?』
『そうです』
『ドアの中は、部屋とか通路じゃないんだ。で、マーティが入ったドアの中は「狭い世界」だっけ?』
『そうです。あのドアの中は石の中の世界で、住んでる者たちは石を削って場所を作り、生活しています』
『フウン、大変な所なんだ。で、二番目の鍵はマーティのところにあるの?』
『皆さんが入ったドアの中にあります』
『四ヶ所にあるの!』
『いいえ。それぞれの世界から鍵がある場所へ行くことができるんです』
『じゃあ、早くその場所へ行けた人が、二枚目の鍵を取ることができるの?』
『そうなります。その場所に行くために、皆さんに持ってきてもらったものが必要なんです』
『それぞれの物が、鍵がある場所へ行くために必要なものなの?』
『そうです』
『そういえば、鍵がある場所を知ってる者がいるから、その者に聞かないといけないんだよね? 』
『そうです。鍵の場所を教えてもらうには、先に難関をクリアしないといけません。その後、その者から鍵がある場所への行き方を聞き、向かうことになります』
『難関? 何それ』
『ドアの中の世界には、鍵の場所を教えてもらうために、クリアしなければならない難関があるんです』
『そういう絡繰りがあるんだ』何かあると思っていたので、なるほどと頷き『それで、どういう難関なの?』
『狭い世界の難関は、魔道師の住処を通ることです』
『魔導師? どういう人なの?』
『彼は村外れにある石の館に住んでいて、特殊な魔法の使い手です。彼の館を通る際、彼の機嫌を損なわなければ鍵がある場所の行き方を教えてもらえ、すんなり通してもらえますが、少しでも機嫌を損ねると石にされ、コレクションにされてしまいます』
『エエッ! ちょっと機嫌を損ねるだけで、石にされちゃうの?』
『そうです。彼はどんなものでも石に変えることができるんです』
『なんでそんな危険な人を野放しにしとくの!』
『それは、彼が重要な役目を持ってるからです』
『どんな役目だというの!』
『それはお話できません。口外できないことですから』
『そうですか! それなら聞きませんよ!』投げやりに言うとニゲラは少し間をおき『第一の門のキーマンの性格では、人を煽てるということは、かなり難しいでしょうね』と言われて絶句するシュール。
『魔導師の館まではすんなり行けるでしょうが、彼にとって、そこがもっとも困難な場所でしょう』
『ヤバい。あの頑固な偏屈高飛車性格は直しとくべきだった!』




