13 第二の門の行方
その後、セージはどう丸め込まれたのかわからないが、剣の話題に触れることはなかった。
『とりあえず、太陽光電池で光を出していた、で通ったかも』楽観的なシュール。
「僕だったら絶対信用しない」
『セージは信用したんでしょう?』
「どうだろうな」
夕飯前。
マーティから、第二の門がある星がわかったと連絡がきた。
「読んでわからないところがあったら教えてくれ」
詳細を保存したデータカードを渡されたので、夕食後、タブレットに挿入して内容を確認する。
海の民が住む氷の星に該当するのは、宇宙南部エリア内に位置するアイスゾーンの豪雪星域、マトリカリア系の第八惑星、ファイヤーブリザード星と思われる。
人口約二万人。
年間を通しての平均気温はマイナス二十度。一番冷え込むときはマイナス五十度近くまで下がる。
一年中雪に閉ざされ、半年は吹雪に見舞われる豪雪星。
二つあるこの星の月が一つに重なる十二月最初の日曜日に、ツインズムーンフェスティバルというイベントが催される。
この日の夕方、星全体が赤く染まり、まるで大地が燃え上がるように見えるという。
また、潮の満ち引きが通常の数倍となるため広範囲に渡って海が陸となり、海産物が大量に獲れることで有名らしい。
ファイヤーブリザード星へはここから約三ヶ月かかる。
今年のツインズムーンフェスティバルに間に合うには、遅くとも八月半ばには出発しないと来年まで待つことになる。
「今日は七月十日。遅くとも一ヶ月後には出発しないといけないのか」
タブレットのカレンダーに出発予定日を入力すると、一緒に内容を見ていたのか、シュールが話し掛けてきた。
『人間は、マイナス二十度の気温の中でも生きられるんだ』
「無理だよ。適温を保てる建物を作って、その中で生活するんだ」
『あ、なるほど』
「精霊はどうなんだ? 生き物なんていないような環境でも存在するのか?」
『精霊は自然とともに存在するんだよ。たとえ人間が生きていけないような所でもね』
「それはすごいな」
『それで、あと一ヶ月で独立を成功させることができるの?』
「やるしかないだろう? ここで一年も足止めを食うわけにいかないし、細菌兵器の件も確認しないといけない。今後の対策はあとで話し合うことになってるけど、まずは、ここからの脱出を成功させないといけない」
『余裕、ないね』
「ないよ」




