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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 宇宙の難関
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46-2 イノンドの交換条件

 

「あれ? この模様、どこかで見たことありますよ」

「それはそうだろう。これと同じだからな」着けているブレスレットを見せると「エッ、エッ?」確認する彼に「俺たちはこの鍵を揃えないといけないんだ。一枚目のこの鍵を手に入れたとき、二枚目の鍵が、幻想の星のどこかにあるという情報を手に入れたんだ」


「これが鍵ですか?」

「そうだ。頼むイノンド。この鍵が揃わないと先に進めないんだ」

「そう言われても……」腕を組んで考えるので「イノンド」さらに声を掛けると「これが、次の場所に必要なんですか?」

「そうだ」頷くと「なんだか、謎解きゲームをしてるみたいですね」

「そうだな。その(たぐい)と似てるだろう」


「……そうですか。あなたたちは、ある謎を追ってるんですか」

「……そうだ」

「その謎のことは、教えてもらえないんですか?」

「すまない。これが限界なんだ」

「そうですか……」


「私たち、話せない、辛い、です」声を掛けるアニス。「本当は、全部、話したい。けど、他の人、話しては、いけない、言われてる」

「イノンド。ワガママを言ってると思うわ。けど、今はあなたしか頼る人がいないの」

 女性二人にまで頼まれると「わかりました。調べてみましょう」と折れるが「但し、私も一緒に行きます」


「エッ!」ロイが彼を見ると「これが、私の交換条件です」

「イノンド!」

「あんな危険な星に、勝手に行かせることはできません」

「でも!」

「ダメでしたら、協力はできません」

「そんな!」


「私たちには、この幸運の香水があるから大丈夫でしょう?」首から下げている例の小ビンを見せるので「……そうですね」逆手に取られて苦笑する。

「では、戻って早速調べます」紅茶を飲み干すと、会議室から出ていく。


『大丈夫だよ』安心させるように声を掛けるシュール。

「谷の中でブレスレットを渡したとき、話すときが近いと思った」

「ありがとう、マーティ」

「ロイにばかり、負担を掛けられないからな」


『でもこれで、何とか幻想の星の情報が手に入るね』ホッとするシュールに「そうだな」と言いつつ「できることなら彼を巻き込みたくないんだけど、そうは言ってられないようだな」

「イノンドがいなければ、俺たちはここまで来れなかったぞ」

「だからこそ、彼に危害が及ばないよう、気を付けないといけないだろう?」

「……そうだな」


「それにしても、こんな事になるなんて」テーブルの上にある鍵と文献を見る。

「マロウに居場所を知らせたのはこれだな」マーティは鍵を持つと「幻想の星も精霊界だろう」


「ねえロイ。文献のことはどうなったの? 解き方わかったの?」落ち着いたところで文献を指すバーネットに「見ていいよ」彼女のほうへ向ける。

「思ってたよりずいぶん古くて大きいのね。すごい厚み」引き寄せてアニスと一緒に見る。


 バーネットが本を開くと「本当、何も書いてないわ」パラパラとページを(めく)っていき「解き方がわかったんでしょう? どうするの?」

 ロイが手を伸ばして本に触ると、徐々に文字が浮んでくる。


「ちょっと! どうなってるの?」

「書いてある文を読めばわかるよ」と言うと、バーネットが声を出して読みはじめる。

「ロイにしか、読めない」意外な絡繰りに感心するアニス。


『どうやってロイが触ったってわかるのかな?』不思議でしょうがないシュール。『指紋?』

「僕は犯罪者じゃないぞ」

『じゃあ、他に何がある? 指から光線が出てるとか』

「どんな光線だよ」


「シュール、諦めましょう。私たちでは答えが出ないわ」

『なんか悔しい』

「私も、答え、知りたい」ロイを見ると「もちろん、僕も知りたいよ」

「俺に聞くな」先回りするマーティ。


「それで、何で行くの? レジーナ・マリス号は動かせないでしょう?」

「中型の偵察機で行くつもりだよ」

「じゃあ、あとはイノンドからの連絡待ちね」


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