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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 宇宙の難関
364/1023

36-1 もう一つの難関

 

 次の日。

 艦の修理に一ヶ月かかると報告がきた。


 作戦会議室。

 いつものメンバーが顔を揃えている。


「ちょっと時間がかかり過ぎるな」ロイがタブレットに送られてきた報告書を読むと「先を焦ることはない」他の報告書に目を通すマーティ。


『ダメ! 早く第四の門へ行くの!』すかさず抗議するシュール。

「肝心の艦が動かないんだから、仕方ないだろう?」

『ブウ!』ふてくされてしまった。


「さて、この先の航路について話しておきたいんだが、いいか?」マーティが見ていた報告書を保存して、調べてきた映像を中央テーブルの3Dモニターに出すと「頼む」ロイが手元のタブレットのデータを保存する。


「では、資料を送信する」全員にデータを送ると「一ページ目を見てくれ」説明を始める。「クレイモアの谷を抜けたので、航路は最初のプランで進むことになる」


「ということは、幻想の星の近くを通るのか」

「そうだ」

 3Dモニターには、クレイモアの谷を含む、この星域であるコンファインゾーンが映っている。

「じゃあ、シールドを用意しないといけないな」

「さっき、物資管理部のベルガモットに頼んだ」

「手に入りそうか?」

「ああ。この星にあるそうだ」


「幻想の星、幻覚、見える、でしょう?」

「そう報告されてる」

「人によって、見えるもの、違う、書いてある」

「無意識に押しこんだ感情や忘れてたものが、映像となって見えるそうだ」

『ヘェ、何でだろう?』考えるシュール。


「確かに、人によっては危険ね」バーネットが考え込むので「どうして?」アニスが聞き返すと「平凡な生活を送ってきた人は、忘れたものを思い出したり、忘れてた感情を思い出しても、自分で意思をコントロールできる。でも、そうじゃない人だっているでしょう? 例えば、誰にも言えない秘密を持ってて、その事が映像として目の前に現れたら、不安や恐怖に襲われて、何をするかわからないわ」


「その事によって起きた事故も、たくさん報告されてる」資料を見るマーティ。


「人は誰でも、多かれ少なかれ知られたくない秘密を持ってるからね。

 思い出したくないことや忘れたいこともある。

 それが、映像というリアルな状態で見えるんだ。

 平常心を失ったとしても、おかしくないよ」

 分析するロイも考え「それで行方不明者がたくさん出たとしても、一応、納得はできるね」


「でも、この数、多過ぎると思うわ。二万人というのは半端な数じゃないわよ」

「それは僕も気になってる。マーティ、その点は調べてあるんだろう?」

「調べたが、原因はわかってない」

『原因がわからないの?』驚くシュール。


「二万人というのは大まかな数字だろう? ちゃんとした数はわからないのか?」

「船ごと行方不明になってるものがあるからな」


「船ごと? その船はシールドを張ってなかったのか?」

「いや。専用のシールド装置を乗せてない船は、通行許可が降りない」

「じゃあ、シールドを張ってても、安全かどうかわからないということじゃないか」

「無いよりマシ、という程度だそうだ」


「エエッ!」不安になるアニスとバーネット。

『クレイモアの谷より大変じゃん!』大声を出すシュール。

「マズイぞ。これじゃ、先へ進めないじゃないか」頭を抱えるロイ。


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