11-2 精霊域の門
『それより前に、門の鍵となるペンダントを持った人のことを聞いたでしょう?』
「いや、聞いてないぞ」
『エエッ! 話し忘れたのかな?』
「誰なんだ?」
『第一の門のキーマン。各門は、前の門のキーマンが持ってるペンダントがないと入れないの』
「僕が会ったのは、グリファスとウェスフィンの二人だけだぞ」
『おかしいなあ。どうして話さなかったんだろう?』
「で、そのペンダントって、どんなものなんだ?」
『門の守護獣を象ったものだよ』
「ということは、第一の門のキーマンは、一角獣のペンダントを持ってるのか」
『そうだよ』
「まったく、門を見付けるだけでも大変だっていうのに、さらに人捜しか? そのキーマンは精霊の類なんだろう? だったら、あの二人に聞かなきゃわからないじゃないか」
『人間だよ』
「エッ、なんで?」
『キーマンは代々門を管理してて、他の人間を近づけないようにするためらしいよ』
「それも、教えてくれた誰かの説明か?」
『うん』
「困ったな。今夜ここを出発するのに、僕だけ残るわけにいかないし」
『あとでまた来れば?』
「そうなると大分あとになるぞ。しかも、宇宙管理局が見回ってるから、もしかしたら、着陸できない可能性もある」
『じゃあ、またあの二人が夢の中に出てくるかもしれないよ』
「そうかもな。期待してみるか。出てこなかったら、戻ってくることを考えよう」ベッドに横になると「それにしても、あの二人はどこに住んでるんだ?」
『森の奥にある大木の根元に家があるんだって』
「ヘェ。さすが精霊。そういえば、帰りのトラックに果物がたくさん積んであったけど、あれは彼らの仕業?」
『そうだよ。あの場所にトラックを停めるよう仕組んだのもそうだよ』
「何だって? じゃあ、道を塞いてた大木も彼らの仕業か?」
『うん。敵の真ん前にトラックを停めたら逃げられないでしょう? 敵がいることを教えてくれたのも彼らだよ』
「じゃあ、君があの断層まで穴を開けたのは」
『彼らの計画』
「すごい策士だな。ああ、地形を知ってるからか。なるほど」
『この森、壊されちゃうのかな?』
「それは阻止しないといけない。となれば、この系星の独立に加勢しないといけないのか。それに、ミッド系の統治者に会って話を聞かないといけないし」
『その統治者が犯人かな?』
「可能性は高いな」
『どんな人間なんだろうね』
「そうだな。会えばわかるだろう。さて、少し寝るか」
腕時計のアラームを正午にセットし、サイドランプの灯りを消すとすぐに寝ついた。




