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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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10 声の正体

 

 またしても時間を稼いだロイは医務室へいくマーティと途中で別れ、セージの隣の部屋に入ると、剣をベッド脇のサイドテーブルに立てかけて、小箱を置くとベッドに横になった。


「まさか、トラックの荷台で寝るとは思わなかった」思いっきり手足を伸ばす。


 しばらくの間ボーッとしていたが、起き上がって小箱をとり「第二の門か。この調子だといくつもありそうだな」蓋を開けると『あれ? ディア・マレのラクリマだ』あの声が頭の中に響いてくる。


『なんでそれを持ってるの? グリファスたちに会ったの? いつ第一の門に行ったの?』


(しゃべり始めたと思ったら質問攻めか?)


『なんで黙ってるの? 寝てる?』

「起きてるよ」

『どうしたの? 逃げられたんだから一応安心でしょう?』

「それはそうだけど」

『で、いつラクリマを取りに行ったの? 門がどこにあるか知ってたの?』

「質問に答える前に、君の正体のほうが先だろう?」

『そっか。正体不明のままだった』


「正体不明さんは誰で、どうしてその剣が光ったりプラズマを放ったりするのか、説明してください」

『そうだね。私はなんだと思ってる?』

「素直に教えてくれないのか? そうだな。お師匠様が話してくれたことから考えれば、君は、その剣に宿ってる何か、かな?」

『まあ、そんなもんだね。私はシュール。よろしくね』


「本当に意思があるのか」またしても理解しがたいことに悩むが「それにしても、どうして今まで話し掛けてこなかったんだ?」

『ンー、話すキッカケがなかったから……かな』

「キッカケね」


『ところで、いつラクリマを取りに行ったの? あの基地を出たときは持ってなかったよね?』

「帰りのトラックの中で寝てたとき、夢の中にあの森の精霊が出てきたんだよ」

『そうなんだ。危険な状態だったから、門まで連れていく時間がなかったんだね。それにしても、よく無事に戻ってこれたね』


「ニネから聞いた口伝(くでん)のお陰だよ。知らなかったら木の人形になってた」

『そっか。ニネが話したんだ。でもよかった。木の人形にされたら戻るのが大変なんだよ』

「いつ元に戻れるかわからないと聞いて、ゾッとしたよ」

『門に入る前に話そうと思ってたのに、いつの間にか行ってるんだもん。驚いた』

「僕も驚いたよ」小箱の蓋を閉めるとサイドテーブルに置き「さて、ここから本格的に聞きたいことがある」立て掛けてある剣を見ると『疲れたから寝ていい?』


「ダメ!」

『剣が光ったりプラズマを出すのは、仕掛けがあると言えばいいよ』

「やってみたいと言われたらどうする?」

『その時は、仕方ないから仕掛けになってあげる』

「なるほど」一応納得するが「聞きたいのはそれだけじゃない」

『まだ何かあるの?』

「君は、どうして僕が旅に出たか、詳細を知ってるだろう?」

『うん』


「では教えてくれ。聞かされた口伝では、影の森から入る場所にアミークスがいるとあったのに、その場所には誰もいなくて、代わりに別の口伝があった。そして第二の門へ行けとあるけど、一体どういうことなんだ? 僕が会いにいこうとしてる人物はどこにいるんだ?」




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