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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 宇宙の難関
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16 選択の合否

 

 一段落着いたのでコーヒーを入れにサーバーへ行くと、隣のケースに入っているアニスが焼いたクッキーを数枚取り、小皿に置くと、いつもの中央テーブルの席に座る。


『ロイ。修理不可能になった護衛艦に乗ってる人達、ひどい状態だったね』シュールが話し掛けてくる。

「きっと、何名か犠牲者が出ただろう……」頭を抱えるので『ロイのせいじゃないよ。あの場合、この中に入らなかったら、みんなやられてたんだから』

「だけど、他に方法があったかもしれないだろう?」


『どんな方法があるの? こっちは四隻なのに、向こうは何隻いるのかわからない状況だったんだよ。一斉に攻撃されたら、みんな助からなかったよ』


「……そうだな」

『この中に入ることが、一番の最善策だったと思うよ』

「僕もそう思いたいよ」

『そう思っていいよ!』

「しかし……」

『誰もロイを責めたりしないよ!』

「僕が責めるよ」


 その時、タンジーが電気室の修理報告にきた。

 作業班からの報告によれば、メイン回路は無事だったものの、各エリアへ電気を送るための中継マシンが破壊されており、修理には最低でも二日は掛かるということだった。


「予備マシンに接続すれば、すべての電源が止まることはないそうです」

「では、必要なところ以外は、直るまで止めておこう」

「すぐ指示します」


 タンジーが出ていくと『自分を責めるのはあとにして、今はこの状況をなんとかして、谷から出られるようにするほうが、生きてる人達を助けるほうが先だよ』


「わかってる。ありがとうシュール」

 ロイは頭の中を切り替えるとテーブルの下からキーボードを出し、テーブル中央に3D映像を出すと、右舷(うげん)の護衛艦にいるマーティに通信を送る。


 サブ通信室のマーティが映ると「艦の状態はどうだ?」

“かなり攻撃を受けてあちこち破損してるが、何とか持ちそうだ”

「クルーの状況は?」

“意識不明者が二人いる”

「……そうか」


“彼らのことはドクターに任せるしかない。とにかく今は、早く艦を動かせるようにすることが先だ”

「そうだな。明日、こっちに戻ってきたら、イノンドを交えて、これからのことについて話し合おう」


 通信を切るとイノンドの艦に繋ぎ、同じことを伝えて「こちらへ来るとき、マーティが渡したブレスレットを、艦にいる人に渡してきてください」


“どうしてですか?”

「そうしないと、残ってるクルーがまた狂いだしてしまうからです」

”本当ですか?”

「詳しい説明はできませんが、そうしてください」

“……わかりました”


 通信を切ると椅子の背もたれに寄り掛かり「とにかく、これで先の目途が付いたな」

『ホント、一時はどうなるかと思った』シュールもやっと落ち着けてホッとする。

 その時、ロイの腕時計のアラームが鳴った。

「ああ、もうこんな時間なのか。どうりで腹が空くわけだ」


 腕時計を見ると、午後三時になっていた。


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