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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
33/1020

9 合流

 

 基地に入って指令室へいくと、アルバスがコーヒーを淹れて待っていた。


「みんな無事だったか。よかった。マーティ大丈夫か? 少し休め」近くの椅子に座るよう勧めると「彼のお陰で助かったよ」セージがロイの肩を叩く。


「今回は思いついた作戦がうまくいっただけだよ。ああ、コーヒーもらうよ」テーブルに置いてあるカップに注ぎ、マーティの隣に腰掛ける。


 次にコーヒーを入れるセージが「アルバス。脱出の準備はできてっか?」と聞くと「ああ。明日の夜に出発する」

「明日か……」

「どうした? 何かあったのか?」

「ロサ・アルバが来てるぜ」

「本当か!」

「あれはゲリラ部隊だったのか!」マーティも驚いて大声を出す。


 ロイは二人の驚きようを見て(あのクラシック人形、有名なんだ。まあ、僕も一発で覚えたけど)場違いな服装を思い出し(あの服装で仕事をさせてる宇宙管理局の体制に、疑問が出てくるな)


「振り切ったのか?」心配するアルバスに「彼のお陰で助かったと言ったじゃん。まあ、基地を爆破して足止めしただけなんだけどさ」


「あの基地を爆破したのか!」


「申し訳ない。それしか振り切る方法を思い付かなかったんだ」ロイが謝罪すると「まあ、仲間の命を考えれば仕方ないか」ため息を吐くアルバスにマーティが「脱出を早めたほうがいい。今日中に準備が整うか?」

「ああ。出発時間を今夜に変更しよう」近くにいる組織員に「脱出時間を今夜の午後十時に変更する。各部署へ手配してくれ」と指示を出す。


 慌ただしくなるので「急ぐに越したことはないけど、あの爆発に巻き込まれたら、いくら屈強(くっきょう)なゲリラ部隊といえど無事なはずはない。代わりのチームが来るまで、いくらか猶予(ゆうよ)があるだろう?」楽観視するロイに「あいつらを甘く見んなって言ったろう。たとえ星の爆発に巻き込まれても生き残るからな」


「奴らの屈強さは理解してる。元身内だからな」考えているアルバスが「どのくらいの猶予があると思う?」マーティに聞くと「今夜がタイムリミットだろう」


「あの爆発に巻き込まれたら、追って来れるだけの体力はないだろう? 第一に、無傷でいられるわけがない。特にあの変わった服装の隊長は、あの格好で爆発から逃げられるとは思えないよ」


「何度甘く見るなって言ったらわかんだよ。アルバが手柄を他人に譲ったことはねえんだよ。今まで依頼された仕事を取りこぼしたことなんか一度もねえんだから」


「とにかく準備を急がせる。三人はそれまで休んでてくれ」アルバスが話を終わらせると「悪りいな。手伝いてえけど体中痛くて、ちとキツイんだ」


「なんだ、セージもケガしてるのか?」意外そうな顔をするので「ちょっとな。けど、少し休めば大丈夫だよ」

「そうか。マーティも、その脚で動いたから痛むんじゃないか? 医務室に行って診てもらったほうがいい」

「ああ、そうする」

「ロイも休んでくれ。部屋はセージの隣だ。セージ、案内してくれ」


 三人はコーヒーを飲み終えると指令室から出た。


 それぞれの場所へ向かう途中「ロイ。そろそろ光る剣のことを教えてくれないか?」マーティがしびれを切らしたように聞いてくると「俺も聞こうと思ってたんだ」セージも話を振るつもりだったらしい。


(ヤバッ、忘れてた!)


「その話は休んでからでいいか? 動くトラックの荷台で寝たから、ちょっと寝不足気味なんだ」

「ああ、夢遊病のケがあるらしいから、部屋の鍵は掛けとけ」

「そんなもんない!」


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