52-2 未解決の問題について
「エエッ! ちょっと、どういうこと?」
「その事に関わってると思われるのが、ブロードリーフ王子と飼い猫のシリアンなんだよ」
ロイは広場でシリアンに会ったところから話し、そのシリアンに王女の意識が移っていて、ウッドラフ星の星王たちが行っている悪事を聞き、王宮に潜り込んだところ、バーネットと会ったところまで説明する。
「でも、私とアニスがシリアンを連れて寝ている王女の所へ行ったとき、シリアンはアニスの言うとおりに行動して王女の身体に戻って、王女の意識が戻って起きあがるとシリアンは元の猫に戻って、捕まえるのが大変だったのよ」
「それが演技だったとしたら?」
「演技? 猫が?」
「そう。猫の姿をした、そうだな、例えば守護獣とか」
「なんですって! シリアンが守護獣? なんの?」
「例えばの話だよ。普通の猫じゃなかったということ」
「普通じゃない、守護獣のような存在って、それは精霊側の何者かだったってこと?」
「そう考えられるだろう?」
「確かに、人の意識が別の動物に移行するなんて聞いたことないけど……」
「そういう設定にするには、まず王女の行動を制御する必要がある」と言うマーティに「王女を研究所に連れてきたのはあの王子なんでしょう?」
「王女の話によるとな」
「ロイたちは、あの王子が偽物なんじゃないかと思ってるの?」
「思ってるんじゃなくて、偽物だと確信してるよ」
「でも、もし偽物なんだとしたら、小さい頃から一緒だった王女が気付くと思うんだけど」
「それは王女本人に聞いてみなければわからないけど、彼らが精霊側の者だとしたら、催眠術か暗示のようなもので記憶を操作した可能性は考えられる」
「催眠術か暗示ねえ……まあ、何かしらの細工があったということはありそうだけど……」
「もしあの王子が偽物ならば、近いうちに、記憶障害にあってる本物の王子が見付かるはずだ」言い切るマーティ。
「それは、記憶喪失になってるということ?」
「たぶん、一時的な記憶混濁ぐらいだろう」
「記憶の混濁ね……」
「そういえば、その王子の消息はどうなってるんだ? イノンドから続報は来てないのか?」ロイに聞くと「足取りは徐々に掴めてきてるみたいだけど、どうだろうな」
「とにかく、イノンドの報告待ちだな」
「そうだな。さて、今日はもう遅いから、部屋へ引き上げよう」
時計を見ると午前一時を回っていた。




