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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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7 脱出

 

 ところが、最後の曲がり角で、組織員たちが立ち止まって奥の様子を伺っていた。


「敵の工作チームがドアを開けようとしてます」

『剣を向けて』と言われて再び剣を抜き、角から剣だけを出すとまたしても電気摩擦音が響き、悲鳴とともに工作員が倒れていく。


「殺したのか?」

『そんなに強くやってないから、気絶しただけだと思う』


 ロイが倒れている工作員の様子を見ている間、セージがドアのロックを外して部屋に入る。


「セージ、何してんだ! 早く来い!」ドア横で何かしているので呼ぶと「ちょっと待てよ! 追ってこれないようにドアをロックしてんだ!」

「急げ! もうすぐ五分経つぞ!」


 セージが走ってくると先に穴へ誘導し、あとからロイが入る。


 走っている途中「さすがに暗えな」セージが呟くと再び剣が光りだしたので走りやすくなったが、爆音とともに地面が揺れはじめたので「急げ! 爆発の衝撃で穴が崩れるぞ!」


 予測どおり爆発が起こるたびに衝撃で地面が揺れ、天井が崩れ落ちてくる。


「止まるな! 走れ!」先に行った組織員たちに追いつくと急かし、土まみれになりながら走っていくと、突然、視界が開けた。


 外に出たのだ。

 見覚えのある風景。断層と大木と車。来たときにトラックを置いてきた所だった。


「セージ! ロイ! 早く乗れ!」トラックの荷台からマーティが呼ぶので、剣をしまってセージの後から乗り込むと「出発しろ!」マーティが運転手に声を掛けたとき、後方で爆発が起こった。


「アーア、せっかく作ったのに」セージがガックリと肩を落とすので「みんな逃げられたんだ。良しとしよう」肩を叩くロイに「基地を爆破したのか!」驚くマーティ。


「それしか逃げる手がなかったんだ」

「そうか……仕方ない」

「それにしても、あの爆発で周りの森に燃え広がらないか?」セージが荷台から顔を出すと、雨が降りだしてきた。


 その雨は次第に強くなり、基地の火災を消していく。


 暗闇の中を走っている途中、追っ手が来ないことを確認して「一時はどうなるかと思った」ロイがホッとして腰を下ろすと「あの果物の山は何だ?」荷台の奥に大量の果物が積まれている。


「向こうの基地から積んできたんじゃねえのか?」セージが一つ取って食べると「オッ、うめえ」

「俺が戻って来たらすでにあった」とマーティが言うので「じゃあ、残ってた組織員たちが採ったのか?」ロイが不思議そうに果物を見ると「それが、誰も知らないと言うんだ」


「送り主不明の果物? 食べて大丈夫か?」

「ブーーーーーーーーーーーッ、そういうこと言うなよ! 食べちまってるだろう!」

 セージの様子を見て「何ともなさそうだ。毒は入ってないな」分析するマーティに「俺は毒見役じゃねえ!」

「率先して毒見してくれたんだろう?」

「し・て・ね・え」


「見たところ蔓や葉が付いてるから、採ってそんなに時間が経ってないのは確かだな」ロイが近くの果物を取ると「僕も一つ貰うよ」食べ始めるので「二人が食べてなんともないなら大丈夫だろう。俺も食べるか」マーティも一つ取る。

「おめえは用心ぶけえなあ」

「慎重と言ってくれ。それにしても、よく食うな」

「なにせ五日間、意識不明の状態だったからさ。腹に何か入れてえんだよ」

「なるほど」


 幾つめかの果物を取るロイが「さっき話してくれた、森に棲む男の子の話を思い出すな」マーティを見ると「俺も同じことを考えてた。セージ、どう思う?」

「俺は、あの坊主の仲間じゃねえかと思うぜ」

「仲間? なぜそう思う?」

「俺があの坊主と会ったのが、ここからかなり離れた場所だからだよ」

「あれはセージの話なのか。じゃあ、運搬車を運転してたのは」

「俺だよ」

「なるほど。もしかしたら、セージのために、その子の仲間が採ってきてくれたのかもな」

「その可能性はあるな」同意するマーティ。


「ところで、あんた何者? あんたの持ってるその剣、ヤバくねえ?」

「確かに不思議だが、ただ光を出すだけじゃないのか?」

「光なんてもんじゃねえぞ。プラズマを起こせるみてえだぜ」

「プラズマ? どういうことだ?」ロイを見ると「その話はあとでと言ったじゃないか。今は疲れたから休みたいんだ」

「起きたら消えてた、なんてのは勘弁だぜ」

「たぶん、そんな事はないと思う」

「マーティ、奴のベルトにフック掛けとけよ」

「フック?」

「この森は魔獣の狩場と言ったろう。何があるかわからない。用心のためだ」

「俺たちも、寝るときはこうやって、トラックと繋がってるフックをベルトに付けんだ」

「なるほど」

「じゃあな。先に寝るわ」荷物に寄り掛かると、ロイも近くの荷物に寄り掛かった。


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