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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
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37-2 第三の門 通過

 

 動く元気が出てくるとロイは立ち上がり「さあ、そろそろ帰ろうか」声を掛けると「冷えたビールが飲みたい」マーティが呟くので「帰ったら夕飯に出してもらおう」


『マーティ。門から出る前に、焦げた尻尾を切ってくれるかしら?』

「ああ、そうだな」アニスからハサミを借りると「大分切ってしまうが、大丈夫か?」

『……伸びるまで我慢するわ』悲しそうに答える。

 焦げた部分を切ってアニスが持っているビニール袋に入れると、バッグにしまう。


 その間、バーネットは朱雀の前にいって(ひざ)まづき「お世話になりました。後日、巫女がお礼に参ります」頭を下げると『承知しました。気を付けていきなさい』


 そんなバーネットの後ろに立つロイが「朱雀、一つ教えてほしいことがあるんですけど」と声を掛ける。

『なんでしょうか』

「この宮殿の至るところに埋まってる赤い宝石、ゴールドクリムソンのことです。なぜ、至るところにたくさん埋まってるんですか?」


『それは、あれら全部がイグナス・ヴェナンディの元の姿だからです』

「エエッ! イグナス・ヴェナンディは口伝に出てくる架空の人物ではないんですか?」

『口伝は物語ではないんですよ』苦笑する朱雀。


「ああ、そうですよね。それにしても驚いたな。あれ全部がイグナス・ヴェナンディだなんて。じゃあ、人の姿になって動くことがあるんですか?」

『もちろんです。この宮殿の守り人ですから』さらに苦笑する朱雀。


「動く、ところ、見たい」興味を持つアニス。

『バーネットは見たことあるの?』シュールが聞くと「いいえ。ここには年に一回、しかも昼間の数時間しかいられないのよ」

『そうなんだ』

「私も、イグナス・ヴェナンディが実在すると初めて聞いたわ」バーネットも驚いている。


「髪、燃えてる?」アニスの興味はこの点らしい。

『燃えてる矢を本当に持ってるのかな?』シュールの興味はここらしい。

「話せるのかしら? 聞きたいことがたくさんあるわ」とバーネット。


「朱雀。イグナス・ヴェナンディは、いつ人の姿になって動くんですか?」ロイが聞くと『深緋(こきあけ)の道が通る二週間の間の夜だけです』

「そのほかの期間は人の姿にならないんですか?」

『なりません。他の期間中は何人たりともここに入ってこれませんから、守る必要ないので』

「……確かに」


『尋ね人』朱雀が改めて声を掛けてくる。

「はい?」

『ここから先は、今までのようにはいかなくなります。心して進みなさい』


「それは、どういう意味ですか?」

『朱雀、私から話すわ』コストマリーが話に入ってくる。『二人には、話せる時が来るまで待ってくれと話してあるの』

『そうですか。わかりました』


 コストマリーはロイとマーティを見ると『あまり時間がないから一方的に話してしまうことになるけど、(さえぎ)らず、最後まで私の話を聞いて』

「……わかった」彼女の真剣な顔を見てロイが返事をすると「話してくれ」マーティが先を(うなが)す。


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