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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
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34-2 同じ像

 

 途中「とうとう切れたか」マーティがアイスクーラーを見ると色が透明になっていて、徐々に暑さが(おそ)ってくる。


「シーホリー、さっきの氷はいくつくらい作れる?」ロイが確認すると『そうだね。補給できる水分によるね』


「できれば三つ作ってほしいんだ。この水筒の水で作れるだけ作ってくれないか?」自分の水筒を渡すとシーホリーはその水で一つ作り、シュールに渡すと、同じようにマーティの水筒でアニスの分を作る。


「私のでコストマリーの分を作って」バーネットが水筒を差しだすと『私はいいわ』

「ダメよ。暑さでバテてしまうわ。シーホリー作って」さらに水筒を差しだすので、シーホリーがロイを見ると「バーネットは大丈夫なのか?」


「地元民だもの、大丈夫よ」

「……わかった。シーホリー、頼むよ」


 彼にもう一つ作ってもらい、コストマリーが背中にかけているマーティの上着のポケットに入れると「私、水筒」アニスも差しだすので「アニスのは緊急用に取っといて」ロイが押し返す。

「でも……」

「僕たちなら大丈夫だよ。さあ、急ごう」



 部屋の奥にある目的の像は、燃える短髪に矢筒を肩にかけ、右手に持つ弓を天に向けて、左手に、話に聞く炎に包まれた矢を持つ少年だった。

 彼の両手の甲にもラチェルタの入れ墨が彫られている。


「ここはシュールが確認したところか。シュール。この像を見たとき、手の甲のラチェルタに気付かなかったのか?」


『私が見たとき、こんな格好してなかったよ。弓は持ってたけど、腕を組んでうずくまってたから、手の甲が見えなかった』


「なるほどね。そういうことか」


「この像が目的のイグナス・ヴェナンディなの?」バーネットが像を見上げると「ああ、この像だろう」答えるロイに「その理由は?」マーティが聞くと「第四の門の口伝が書かれてた部屋で、円を描いたラチェルタのサークルがあった場所を覚えてるか?」


「アッ、そうか。そういう意味だったのか!」

「ここは、口伝が書かれてた場所だ」


「部屋の両脇と台の位置は、口伝があった部屋のラチェルタが円のように描かれてた場所か。やはり意味があったな」

「絡繰りがわかると簡単に思えるけど、そこに辿り着くまでが難しいよ」


「それでは、炎の矢をもらって引き返すか」マーティが像の手から矢を外すと「朱雀(すざく)のところへ戻るぞ」

 するとシュールが『ねえ、あの矢は持ってかなくていいの?』像が肩から掛けている矢筒に入っている数本の矢を指さす。


「口伝には他の矢のことは書いてなかったから、いいんじゃないか?」


 しかし、どうしても気になるらしく『出してみていい?』と聞くので「余計なことはするな。どこにどんな仕掛けがあるかわからないんだぞ」マーティが注意すると『ハーイ』と返事をするが、彼らが背を向けたとき、筒から矢を出してしまった。


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