6-1 クラシック人形
メインルームに入ると、セージがモニターを見ながら操作しているので「何してるんだ?」隣に立つと「各階の隔壁を閉めてるんだ」チラッとロイを見ると視線を戻す。
「この爆音は隔壁を壊してる音か?」爆音と振動が徐々に近づいてくる。
「だろうな」
「どのくらい時間を稼げそうだ?」
「ンー、あんまねえな」
「敵の正体は?」
「あんたの言ったとおり、残党狩りのチームだ」モニターの一つを指すと「これは、宇宙管理局の鎮圧部隊の制服だ」
「強そうだな」
「強ええぜ。なんてったって、選りすぐりの奴らが所属してるからな」
「でも、一チームはこんなにメンバーが少ないのか?」モニターに映る敵兵の数に違和感を感じると「しまった! 格納庫の入り口を確認しろ!」慌てて近くにいる組織員に指示をだすが、モニターには爆破された入り口が映った。
「陽動作戦だ。表の入り口に気を取られてた。クソッ! みんな武器を持て! きっと近くまで来てるぞ!」セージの言葉に、組織員たちが慌てて持っている武器を確認する。
「おい。あんたは武器持ってんのか?」ほかのモニターを確認しながら聞いてくるので「ああ、持ってる。どこを見てるんだ?」
「この階の非常階段」そこには、何人もの敵兵が銃を構えて走っているところが映っていた。
「お遊びはそこまでですわ」
フイに後ろから女性の声がしたので振り返ると「もう少し楽しませていただけると思ってましたのに、こんなにアッサリと終ってしまうんですもの。物足りませんわ」
プラチナブロンドの巻き毛にダークグリーンの宮廷風ワンピースを着た女性が、銃を構えた兵士たちの間に立って微笑んでいた。
「ロサ・アルバ! お前か!」
「あら、セージ様。生きてらしたんですのね。あたくし、あの攻撃で死んでしまったと思ってましたのよ」
「あれはお前だったのか。お陰で死にかけたよ!」
「あら、そうですの。でも、これで追い駆けっこはあたくしの勝ちですわね」嬉しそうにほほ笑み「では、銃を置いて壁際へ移動していただけます?」と奥の壁を指さす。
言われたとおり移動しはじめると、ロイは周りにいる組織員の陰に隠れ、剣が見えないようにゆっくりと移動する。
「セージ」後ろに引っぱり「あれは何だ?」兵士を引き連れて歩いてくる場違いな服装の女性を指すと「あいつは宇宙管理局、ゲリラ部隊の隊長だよ」
「ゲリラ部隊って、もしかして、破壊屋と呼ばれる、あのゲリラ部隊のことか?」
「ソ。俺たちの一番の敵」
「なんでゲリラ部隊が残党狩りチームと一緒に動いてるんだよ!」
「知るか! 俺に聞くな!」
「どうするんだよ。ブラックマルス級の部隊じゃないか。で、あれが隊長なのか? どう見ても等身大のクラシック人形だぞ」
モニター前の椅子に腰掛けて、部屋の中を見回している。




