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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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5-4 謎の声


「ゲホッゲホッゲホッゲホッ!」 


 煙が収まると、目の前に大きな穴があいていていた。


『ここからみんなを逃がして』


「……本当に吹っ飛ばしやがったよ」ビリビリと(しび)れる手を振り、呆気にとられていると「ロイ! 何するんだ! 基地を壊すつもりか!」マーティが組織員に支えられながら歩み寄ってくる。


 突然の衝撃で、部屋に集まってきた人達が騒ぎだしていた。


「ああ、悪い。逃げ道を作ってたんだ」

「逃げ道?」目の前の穴を見て「これが? どこに出るんだ?」


「どこに出るんだ?」剣をしまい、咳き込みながら穴を覗くと、坂道を駆け上がるように上に向かって続いている。


『車のところ』


「車? 乗ってきたトラックの……もしかして、あの断層か?」

『オー、正解!』

「よくあの場所がわかったな」

『まあね』


「ロイ!」

「マーティ。この穴は乗ってきたトラックを停めた、あの断層のところへ繋がってる。先導してみんなをトラックに乗せてくれ」


「本当にあの断層に出るのか?」

『本当だよ』と頭の中に聞こえるので「大丈夫だ。急いでくれ」


「なぜそんな事がわかるんだ」と言ったものの「ここまで言うとおりにしてきたからな」

 マーティは振り返り「みんな、この穴から脱出する。ここを先頭に一列に並んでくれ。荷物は最小限に。動ける者は負傷した者に付き添い、動けない者は背負え」


「マーティ、トラックのところに敵はいないと思うが、十分注意してくれ」

「ロイはどうするんだ?」

「僕は、セージと一緒に、敵の侵入をできるだけ食い止めて、時間を稼ぐ」


 そこへ、組織員の一人が部屋に走りこんできた。


「マーティ! 基地の入り口に敵が集結しはじめた!」

「いよいよ来たか。マーティ急げ。早く行くんだ!」


「俺は残る。お前ら先にいけ」話を聞いていた組織員に声を掛けると「ダメだ!」ロイが止める。「その脚では真っ先に捕まる。言葉は悪いが、足手まといはできるだけ残したくない」


「なんだと! クソッ、わかった! 先に行く!」

 (きびす)を返し、組織員の一人に支えられながら瓦礫(がれき)が散乱する穴の前へいくと「俺たちの後から付いてこい!」一列に並んでいる人達に声を掛け「自滅するな」ロイを見ると穴の中へ入っていく。


 一列に並んだ人達が入りはじめると、ドォーン! という爆音とともに基地が大きく揺れ、並んでいた人達が一斉に部屋の中に散らばる。


「大丈夫だ! 敵は僕たちが食い止める! みんなは順番を守って、早くここから出るんだ!」

 ロイは冷静に声をかけ、再度一列に並んで穴に入るよう言うと、近くにいる組織員に「僕たちが部屋から出たら、ドアをロックするんだ」と言って、残りの組織員にメインルームへ連れていくよう声を掛ける。


 通路を走っている途中に数回爆発がしたので、敵が地下へ降りてくるのは時間の問題だった。



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