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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
257/1021

23-1 口伝に出てくる場所

 

 外へ出ると二台のジープが階段下に並び、(そば)にローズドックたちが立っていて、降りてくるロイたちに気付くと「口伝の忠告を忘れなきように」と声を掛けてくる。


「気を付けます。王女たちのこと、頼みます」ローズドックが(うなず)くとジープに乗りこみ、護衛車のあとから出発する。



 ジープはさらに南へ向かって、砂漠地帯を走っていく。


 後部座席にアニスを(はさ)んで座っているロイが「そういえばさっき、イノンドから別の話を聞いたんだ」マーティに話し掛ける。「正体不明の戦闘艦が着陸してるらしい」


「ロサ姉妹ではないのか?」

「彼女たちの船ならすぐわかると言ってたよ」


「ああ、そうだな。では何者なんだ?」

「イノンドが何か(かく)してる。きっと、その艦に心当たりがあるんだ」


「聞かなかったのか?」

「聞いたら、僕たちがどこへ行くのか教えたら話すと言われた」


「火炎の宮殿と答えたんだろう?」

「その先があるだろうと突っ込まれたよ」


「やはり気付かれてたか」

「答えられないから、こちらもそれ以上聞けなかった」


「怪しいと臭わせといて全部を言わないとは、ズルい手を使うな」

()け引きは向こうが上だよ」


『これからイノンドには気を付けないといけないよ』シュールが注意するので「そうだな。しかし戦闘艦か。注意しといたほうがよさそうだな」


「さっきエルに連絡して探りを入れてもらうように頼んだら、すでに調べはじめてた」

「さすがエルだな」


「何かあったの?」助手席のバーネットが二人の会話を聞いて入ってくる。

「そんなに気にすることじゃないよ」

「そう?」


「だい、じょうぶ?」アニスが小声で聞くので「心配するな。何かあればイノンドたちが動く」と聞いて小さく(うなず)く。


「ところで、宮殿までどの位かかる?」ロイが話題を変えると「順調にいけば、一時間くらいで着くかしら」

「一時間か。けっこう離れた場所にあるんだな」


「そうね。ほら、口伝に出てくる「灼熱(しゃくねつ)の雪」が見えるわよ」左側を指すので「どこ!」慌てて窓の外を見ると「光に反射して光ってるのは羽?」ロイが携帯で動画を撮りだす。


「青空の下に降る溶けない雪か。珍しい光景だな」マーティも携帯を取りだし「それにしてもすごい大群だな。一体、何匹いるんだ?」


 アニスもマーティの隣で動画を撮りはじめた。「初めて、見る。すごい」

『光る花びらが大量に動いてるみたいだね』シュールも動画を撮っているのかもしれない。


 大きくなったり小さくなったりする大群は、地表に現れたオーロラのようにキラキラと光っている。


「しかし、陽炎(かげろう)は普通、水のある所にいるんじゃないか?」記憶を探るマーティに「彼らは産卵のために、この先にあるオアシスに向かってるのよ。来年は、向うのオアシスからこちらのオアシスへ向かう灼熱(しゃくねつ)の雪が見られるわ」


「なぜそんな事をするんだ?」

「産卵場所をきれいにするために行き来してると言われてるわ」


「そういえば昨夜、オアシスへ向かう途中で、(ほたる)のような光る虫を見たけど、あれは何?」ロイが思い出すと「砂蛍(すなぼたる)よ。蛍と付いてるけど別の生き物。夜になると集団で光を出しながら飛ぶから、そう名付けられたのよ」



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