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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
254/1025

21 別人のようだけど

 

 やっぱりイノンドたちは驚いた。


「一体何が起きたんですか? 納得できるように説明してください」目の前のバーネットを見て、理解できずに困った顔をする。


「何があっても、深く追求しないという約束でしたよね?」


「確かにそう約束しましたが、こんな事では、なぜなのか説明してもらわなければ、消化不良を起こしてしまいますよ」困惑するイノンドを見て「気持ちはわかりますけど、説明できないんですよ。すみません」


「……フゥ、わかりました。仕方ありませんね」諦めたようにため息を吐き「巫女ではなくてバーネットさんなんですよね?」目の前の彼女に確認すると「ええ、そうよ」ニッコリ笑って答える。


「……声は確かに彼女なんですけど……」どうしても巫女にしか見えなくて、困惑するイノンドに「今まで付けてた仮面を外したと思ってください」と言うので「それは、どんな素材で作られた仮面なんですか?」そんなこと無理だと反論する。


『だから無理だって言ってるのに』呆れるシュールに(仕方ないだろう? 他にどう言い訳できるんだ?)苦笑するロイ。


 ことのほか驚いたのは、言うまでもなく王女だった。バーネットの顔を見て一言も出ない。


 その王女に「これから出掛けなければならなくなったので、オアシス内を散策しに行けなくなってしまいました。すみませんが、側近の人達と一緒に行ってもらえませんか?」ロイが声を掛けるとしばらくの間ポカンとした顔をして「エッ? はい、そうしますわ」と空返事をする。


『今回はワガママ王女と同じ気持ちだから、驚く気持ちはわかる』


「すみませんイノンド。一緒に残ってもらえませんか?」

「ウーム、それは困りましたね」


「お願いします」

「実は、先ほど艦に連絡したんですが、怪しい宇宙船が着陸してると報告があったんですよ」


「どう怪しいんですか?」

「あなたたちの艦のように、戦闘艦が着陸してるらしいんです」


「ロサ姉妹の船じゃないんですか?」

「彼女たちの船ならすぐわかります」

「ああ、そうですね」


「こんな辺境地にわざわざ着陸しなくとも、近くにもっと近代的な星があります。なぜここに降りたのか、現在調査してます」


「確かに、こんな星に戦闘艦が降りるのは不自然ですが、僕たちのように何か理由があるかもしれないので、頭から怪しいと決めてかかるのはどうかと思いますが」

「まあ、それは調べればわかることですから」


「イノンド。何か隠してますね?」

「エッ、何をですか?」(とぼ)けるノンド。


「ウソを吐くのが下手ですね。何があるんですか?」

「そうですね。あなたたちが、これからどこへ行くのか教えてくれたら話しましょう」


「火炎の宮殿に行くと話したじゃないですか」

「その先があるでしょう? 我々の知らない先が」


「その先ですか?」

「今さら(とぼ)けないでください。そのくらい、話を聞いていればわかりますよ」


「……取引ですか?」

「そうです。ギブアンドテイクです」


『イノンド、探りを入れてくるようになったね』ちょっと警戒するシュール。

「では、次の機会に聞きます」

「また引くんですか?」


「取引に応じることができないので」

「そんなにアッサリ引かれると困りますね」


「何があっても、深く追求しないと約束したじゃないですか」

「そうですけどね」

「約束は守ってください」


「……仕方ないですね」イノンドはまた溜め息を吐くと「そういえば、ブロードリーフ王子の件に関して、続報が来ました」


「どんな事ですか?」

「大したことではないのですが……」

「どんな事でも教えてください」


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