19 食い違いの解明
「ちょっと待て」今度はマーティが遮る。
「君ら三人が姉妹だということは言われなくともわかる。ソックリだからな。君らが三つ子で、バーネットが姉か妹というのであれば、何とか納得しよう。
しかし、四つ子だとすれば、一人だけまったく違う顔、髪や肌、瞳の色をしてるのはおかしいだろう。
それと、一番の疑問は、当のバーネットがこの事をまったく知らないという点だ。
これらの事をどう説明するんだ?」
「それは、彼女の封印を解いてから説明しよう」ローズドックがサークレットを外すとディルとジュニパーも外し、ローズドックに渡す。
すると、ディルとジュニパーの髪が金髪に変化していく。
『ワアア! 髪の色が勝手に変わってく!』シュールがパニックを起こすので「シュール、落ち着け」と言うロイもパニックしかけている。
「ますます化かされてる気分になる」冷静なマーティも、このときばかりは驚きを表情にだす。
そして、瞳の色もローズドック同様、赤みがかった金色に変わっていた。
「頼むから、理解できることをやってくれよ」大きくため息を吐くロイ。
「夢の中、女性、ボヤけてた、同じ顔、何人もいた、から?」
「もしかして、今朝マーティが言ってた「ある話」って、アニスのことですか?」ディルに聞かれると「そうだ。アニスはかなり正確な予知夢を見るんだ。先日、ここでの夢を見て、その中に、髪の長い金髪の女性が出てきたそうだが、その女性はボヤけて見えたそうだ」
「二人の髪の色が金髪だったことは私も驚いたけど、みんなが何を話してるのかさっぱりわからなくてイライラするわ」
バーネットの不機嫌な顔を見て「早く封印を解かねばならぬな」ローズドックはディルのサークレットを下に、ジュニパーのを上に重ねて元の形に戻すと「さあ、それを填めよ。さすれば記憶がよみがえる」
バーネットは戸惑いながらも受け取って額に填めると短い呻き声をあげ、手で顔を覆うと俯く。
「大丈夫か?」隣にいるロイが心配して覗き込むと「心配されるな。今、封印が解けておる最中ゆえ、しばらくそのままに」と言われ、彼女が顔を上げるまで待つことにした。
四・五分して俯いていたバーネットが顔を上げると「ディルたちと同じ顔だ!」驚くロイが慌てて彼女から離れる。
「フゥ」バーネットは頭を押さえてため息を吐くと「すべて思い出したわ」
「まったく、そなたが死んだと聞かされたときは、スペアのペンダントがなかったゆえ、どうしたらよいか混乱したぞ」
「ごめんなさい。心配かけたと思ってるわ」
『ねえ。どんな仕掛けがあるの?』
「ああ、みんなが話してたのはあなたね?」
『私の声が聞こえるんだ』
「やっとね」サークレットを外すと黒かった彼女の髪が金髪に変わり、肌の色が褐色に変化していくと、瞳の色も赤みがかった金色になっていく。
「バーネットも金髪だったのか!」驚くロイに「そうよ」と答えると、サークレットをローズドックに返す。
『なんで肌の色や瞳の色が変わるの?』恐る恐るシュールが聞くと「封印が解けたからよ。私も巫女の一人だから」
「目まぐるしい変化に、付いていけそうにないぞ」マーティが困った顔をすると、ディルが「気分直しに何か飲み物を入れますね」立ち上がり、奥に置いてあるティーセットを持ってきてお茶を入れはじめる。
「では、封印が解けたところで、そちらの話の続きを聞かせてくれないか?」混乱するロイが話を進めると「私が第三の門のキーマンよ」
『ウソだああああああああ!』絶叫するシュール。
「ちょっと待て。バーネットが第三の門のキーマンとはどういうことなんだ?」さらに混乱するロイ。




