5-3 謎の声
「そうらしい。まず、こちらのメンバーを二手に分ける。敵の侵入を防ぐ者と、この基地にいるメンバー全員を西端の部屋に集める者。人選は任せる」
『先に西端の部屋にいって』
例の声が指示を出すので「僕は西端の部屋へいく」
「ちょっと待てよ。残党狩りのチームがいるって、本当なのかよ」怪訝そうな顔をするセージに「さっきも言ったとおり、理由を聞かずに動いてほしい」
「いや、いきなり来てそんなこと言われてもさ」
「セージ、今はロイの言うとおりにしろ」
「マーティは信じるのかよ」
『モタモタしてる時間はないよ』また声がするので「敵が動きだす。早く動いてくれ!」
「マジかよ!」
「セージ、ここはお前の管轄だ。振り分けてくれ」
「……わかったよ。俺はコントロール室へいって、内線で移動するよう伝える。その後、対戦に備えて準備する。マーティは奴と一緒に西端の部屋へ行ってくれ。お前がいれば、みんな言うことを聞くだろう」
ロイを見ると「西端の部屋からどうやって逃げだすんだ? あの部屋に脱出口はねえぞ」
「なければ作るしかないだろう」
「ハァ? 忘れちゃいねえだろうな。ここは地下だぞ」
「もちろんわかってる」
「セージ。とにかく動くぞ」
「わかったよ。じゃ、行動開始」
セージの合図で二手に分かれ、それぞれの場所へ向かう。
マーティたちに付いて西端の部屋へ入ると、そこは小ホールになっていた。
その時、内線放送が入り、セージが移動を促す。
ロイは左側の壁際まで行き「西端の部屋に来たぞ。これからどうするんだ?」声の主に話し掛けると『逃げ道を作る』
「どうやって? 爆弾でも仕掛けるのか? ここは地下だぞ」
『そうだね、吹っ飛ばす』
「吹っ飛ばす? 何を?」
『見てればわかる』
「頼むから、基地は吹っ飛ばすなよ」
『部屋の左奥にいって』
「あんなところで何を吹っ飛ばすんだ?」
ロイが歩き始めると、基地内にいるメンバーが続々と部屋へ入ってきた。
「着いたぞ。ここで何するんだ?」
『剣を抜いて、左側の壁に向かって立って』
「なぜ?」
『ここの壁を吹っ飛ばす』
「エ?」
『剣先を、壁の半分からちょっと上に向けて、しっかり剣を握って』
「本気か?」
『行くよ!』
「あ、ああ」剣をしっかり握るとまた光を放ちだして、その光が剣先に集まると大きく膨らみ、一瞬、光が増すと目の前の壁めがけて飛んでいく。
ドォーン! ゴゴゴゴゴゴゴッ!
ものすごい音とともにモウモウと煙が立ち、ロイは衝撃で後ろに数メートルずり下がった。




