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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
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15 一族の巫女

 

 一息ついたところで、ジュニパーが「もうすぐお食事の用意が整いますが、その前に、私たちの巫女にお会いいただけますでしょうか。オアシスに来られた方はお会いいただく仕来(しきた)りとなっておりますので。お疲れのところを申し訳ございません、ディルがご案内いたしますので、よろしくお願いいたします」部屋の外へ出るよう(うなが)す。


 廊下に出るとディルに付いて奥へ進み、今度は赤いタペストリーが掛かったドアを開けて中に入る。


 薄暗い控えの間と思われる部屋を横切り、向かいのドアをノックして中に入ると、正面に緋色(ひいろ)の民族衣装を着た二十代の女性が、お付きの女性二人に(はさ)まれて玉座と思われる椅子に座っていた。


『アーッ! 髪の長い金髪の女性だ! この人もディルにソックリだよ!』驚くシュールの声を聞いて「双子じゃなく三つ子なのか?」意外な展開に戸惑うロイ。


 その女性はディルたち同様褐色(かっしょく)の肌をしているが、黒髪ではなく長い金髪を頭の後ろでまとめ、緋色(ひいろ)(ひも)で編んだ太い(ひも)で髪を留めている。


 そして、他にも二人と違うところがあった。


『ロイ、あのひと人間?』

(たぶん……あんな瞳の色、初めて見た)


 彼女だけ、赤みがかった金色の瞳をしているのだ。


「すごいな。火の精霊どころか炎の女王って感じだ」

「どうだ? 夢の中に出てきたのは彼女か?」マーティが隣にいるアニスに確認すると「わから、ない。けど、雰囲気、似てる」


 ロイたちの後ろにいる王女は側近たちの後ろに隠れ、驚きの目で目の前に座っている女性を見ていて、王女たちのさらに後ろにいるイノンドと部下二人は、黙ってやり取りを聞いているが、その表情は、何が起きているのかわからず、困っているように見える。


 巫女は一通り見回すと「遠きところをよく来られた」と声を掛けてきた。

「あなたが巫女ですか?」ロイが確認すると「いかにも。疲れたであろう。部屋を用意してある。今夜はゆっくり休まれよ」


「では、失礼します」ディルが一礼して部屋から出ていこうとするので「これだけ?」一同、呆気に取られると「そうですよ。さあ、食事が冷めないうちに戻りましょう」戸惑いながらも巫女に一礼して部屋から出ると、来た廊下を戻っていく。


 その途中『あの巫女が第三の門のキーマンかな?』シュールが聞いてくるので「そうかもしれないね」返事をするロイが「明日、もう一度巫女に会わせてくれるように、ディルに話したほうがいいんじゃないか?」アニスの頭越しにマーティに小声で話し掛けると「そうだな」と(うなず)く。


「でも、違ったら?」心配そうなアニスに「その時は他を探すことになるね」


「三人で何をコソコソ話してるの?」後ろを歩くバーネットが話に入ってくるので「あ、いや、何でもないよ」そそくさと離れる。


 長い廊下を戻ってくると、先を行くディルが、さっきまでいた部屋の隣のドアを開けて「どうぞ」と中に入るよう(うなが)す。

 その部屋の中央にも細長いテーブルが置かれ、人数分の食事の用意が整っていた。


「お待たせ致しました。どうぞ、お好きな席にお掛けください」


 部屋で待っていたジュニパーが手を叩くと、奥のドアから大皿を持った女性が数名出てきてテーブルの中央に置いていくので、それぞれ席に着くと好きなものを小皿に移し、食べはじめる。


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