5-2 謎の声
すると、剣を持ったセージの手がピクッと動き「フワーッ、もう起きる時間か?」大欠伸をして起き上がると「なんだこの管? エッ、なんでこんな剣を持ってんだ?」
自分の置かれている状況が把握できず戸惑うが「あれ、マーティじゃねえか! 無事だったのか! よかった。心配してたんだぞ」嬉しそうに声を掛けてくる。
予想外の展開に頭が付いていかないマーティが「お前、電気室で感電して、今まで意識不明の状態だったんだぞ」
「そういえば、すごい衝撃があって、そっからの記憶がない」改めて自分の身体を見ると「それでこんなに管が付いてるのか」納得して「で、この剣は何?」
左手に握っている剣を持ち上げると「それは僕の」剣を受けとるロイに「その剣は何なんだ?」マーティから質問の続きがくるが「説明はあとでするよ。とにかく、脱出する準備を始めよう。彼の身体に付いてる管を取ってくれ」と声を掛ける。
『目覚めてくれてよかった』
再びあの声が頭の中に聞こえてくると『サァ、早く西端の部屋へみんなを連れてって』と言うので部屋の隅へいき「君が何者なのかわからければ、これ以上言うとおりにできない」と言い返すと『みんな捕まっちゃうけど、いいの?』
「誰が来るんだ?」
『誰かわからないけど、基地の入り口を囲むように、怖い顔をした人達がたくさん隠れてたよ』
「どんな格好してた?」
『暗くてよくわからなかったけど、トラックの運転手と同じ黒い眼鏡をかけて、コードの付いた耳栓して、細長くて変な筒がついた黒い銃を持ってた』
「暗視スコープにインカムとサイレンサー付きのレーザー銃か。ヤバいな。気配にまったく気付かなかったぞ。ブラックマルスは少数精鋭部隊。大勢ということは奴らじゃないのか? すると、残党狩りのチームか?」
「セージ。立ち上がって大丈夫か?」マーティが心配そうに声を掛けると「体中痛いけど、動けないほどじゃねえから」
「そうか、無理するな。誰かセージに付いてくれ。ロイ、移動するぞ」
「あ、ああ」
マーティのあとから部屋を出ると『西端の部屋は左の通路だよ』例の声が指示を出すので「マーティ。ちょっと待ってくれ」声を掛けると振りむき「なんだ?」
「また勝手なこと言って申し訳ないけど、もう少し僕の言うことを聞いてくれないか?」
すると少し考え「どんなことだ?」向きなおる。
「本当に申し訳ないけど、時間がないので理由を聞かずに動いてほしい」
「……何をしろと言うんだ?」
「まず、基地の入り口付近に残党狩りのチームがいる。僕たちが入ったのを確認してるから、そろそろ乗り込んでくるはずだ」
「何だって! ここがバレてたというのか?」




