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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
232/1021

6-2 ゴールドデザート星

 

 ブリッジが接続されると艦から降り、異様に厳しい入星チェックを受けると、メインターミナルから出る。

 エアポート周辺ということもあって大通りには様々なビルが立ち並んでいるが、大都市という雰囲気はなく、地方都市に近い感じだった。


 その大通りをバーネットに付いて歩いている途中、マーティが空を見上げ「わかってたが暑いな」灼熱の太陽が地上を照りつけている。


 観光に来たのならTシャツに短パンの格好をするところだが、これから向かう場所がどんな所なのかわからないので、それなりの服装をしてきたから少し蒸し暑い。


「本当、暑い」キョロキョロと辺りを見回すアニスに「こういう所に来るのは初めて?」バーネットが振り向くと「彼女はアイスゾーンの豪雪星出身なんだ」バーネットの隣を歩くロイが説明する。

「そうなの。すごく肌が白いと思ったらアイスゾーン出身なのね。だったら、ここの日差しは強いから、日焼けしないように気を付けないといけないわね。いい日焼け止めがあるから、あとで付けたほうがいいわ」


 女性二人が話をしているとき、隣にくるマーティが「イノンドはどうした?」小声で話し掛けてくる。


「それが、説得できなかった」

「まあ、そうだろうな」


「努力したんだ」

「わかってる。で、どこで合流するんだ?」

「後ろにいますよ」


 声を掛けられて振り向くと、部下二人を連れたイノンドが立っていた。


「不思議なことがあっても深く追求しないという条件で、同行することを了承してもらいました」

「本当だといいんだがな」


「約束は守りますよ。ところで、王女はどうしたんですか?」絶対、付いてきていると思っていたのに、姿が見えないので不思議そうにしている。


「クラリー夫人の工房で、装飾品を作るよう仕向けてきました」

「なるほど。それはいい考えですね。でも、大丈夫ですか?」


「付いてきて大騒ぎされたら困りますから。それに比べたら、あとで大騒ぎされるほうがマシです」

「それはそうですけど、大変そうですよ」


 今度は総勢七人で大通りを進む。


 バスターミナルまでいくと「案内所」と看板が出ているお店の前でバーネットが止まり「ここよ」ガラス張りの横に開くお店のドアを開けて入っていく。


「こんにちは!」奥に向かって声を掛けると「いらっしゃ、まあ! バーネットじゃないの! 本当に生きてたのね!」カウンター奥にある椅子に座っていた、少しふっくらした色黒の中年女性が、バーネットを見ると慌てて()け寄ってくる。


「心配かけてごめんなさい」


「もう、あんたと伯父が事故に遭って死んだと聞かされたときは、心臓が止まりそうだったんだよ。生きてると連絡をもらったときは本当に嬉しくて、みんなで集まって、お祝いの会を、開いたくらいだよ……」途中から涙声になって言葉にならない。


「……叔母さん」

「もう、家には、帰ったのかい?」


「いえ、まだよ」

「何やってんだい! ここに来る前に帰らなきゃダメじゃないか!」

「まだ仕事が残ってるのよ。終わったら帰るわ」


「仕事? そういえば、後ろにいる人達は誰なんだい?」涙を拭きながら、入り口近くに立っているロイたちを見ると「紹介するわ。彼らが助けてくれたのよ」


「まあ、そうだったの。姪を助けてくれてありがとうございます。私は叔母のクミンです。ここで案内所を経営してるんですよ」


「彼がね、叔母さんに聞きたいことがあるんですって」ロイを紹介すると「ここで立ち話もなんだから、奥へ上がってもらっていい?」


「ああ、そうだね。どうぞ。暑い中を歩いてきたんでしょう? 冷たい飲み物を用意しますね」


「ここで構いません。お客さんが来るかもしれませんから」ロイが引き止めると「心配いりませんよ。呼び鈴が置いてあるし、もう少ししたらアルバイトが戻ってきますから」


「私たちは席を外しますよ。アルバイトの人が戻ってくるまで、店番をしてます」イノンドが遠慮するので「どうする?」と聞くマーティに『ロイに任せるよ』シュールも判断を任せるので「一緒で構いませんよ。これからどこへ向かうか知ってたほうがいいでしょうから」声を掛けると「そう言ってもらえると助かります」


 ロイたちはバーネットに付いて奥の部屋へ入った。


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