5-1 謎の声
中に入ると正面にエレベーターがあり、それに乗って基地内へ降りていく。
ドアが開くと二人の警備兵が銃を構えて立っていたが、マーティの顔を見るとホッとして銃を降ろすので「セージは?」と聞くと互いの顔を見合い「セージは、壊れた電気室に閉じ込められた仲間を助けるとき、落ちてきた電気コードに接触して、意識不明の状態なんだ」
「何だと! 奴はどこにいる!」
警備兵の一人に案内されて別のエレベーターでさらに地下へ降り、通路奥の暗い部屋に入ると、軽くウェーブのかかった金髪の男が、さまざまな装置に囲まれてベッドに横たわり、数名の男たちが彼の様子を見ていた。
「セージの容態はどうなんだ!」
不自由な脚を庇いながらマーティが駆けよると、医師と思われる小柄な男が「誰かと思ったらマーティじゃないか。無事だったのか。ああ、外傷は大したことないんだが、感電したショックで意識が戻らないんだ」
覇気のない声で答えるので「なんてことだ。こんな状態では、運び出すことができないじゃないか!」
沈黙が続く中、突然、ロイが身に着けている金青の剣が光りだした。
「この光は何だ?」マーティが眩しそうに光の発生源を探しだすので、ロイは慌てて部屋から出ると「どうなってんだよ」困ったように光を放つ剣を見る。
すると『彼にこの剣を持たせて』と、頭の奥から声が響いてきた。
「エッ、何?」周りを見回すと『早く、この剣をベッドで寝てる人に持たせて』さらに聞こえてくるので「君は誰なんだ? どこにいるんだ?」また辺りを見回すが『あとで説明するから、今は言うこと聞いて』
「急にそんなこと言われても、なぜ剣を持たせるんだ?」
『ベッドで寝てる人を起こさないといけないんでしょう? 私が起こしてみる』
「ハ? そんな事ができるのか?」
『やってみないとわからない。だから早くして!』
「なんでそこまで急ぐんだ」
『敵が踏み込んでくる』
「敵? 敵って誰だ? ブラックマルスか?」
『わかんないから早くして。みんな捕まっちゃう!』
「ちょっと待て! 今の状況を理解する時間をくれ」
『理解しなくていいから、早くして!』
「マーティたちになんて説明したらいいんだ?」
『あとで説明するって言えばいい』
「納得するか?」
とにかく、急かされるまま光る剣を持って部屋に入ると、一斉に視線が集まる。
「おい。なんで剣が光ってるんだ?」マーティから当然の質問がくるが「あとで説明する」言われたとおり答え「とにかく黙って見ててくれ」
奇異の目で見るマーティたちにベッドから離れるよう言い、入れ違いにベッド脇に立つと、セージの左手に光る剣を持たせる。
何が起きるのか、固唾を飲んで光る剣を見ていると、フッと光が消えた。




