表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章「第三の門 / 燎(りょう)の天の門」
229/1023

4 意外な情報

 

 その日の午後三時。

 リビングでのティータイム。


「ロイ様。バーネットさんがお見えになりませんけど、何をなさっていらっしゃるんですか?」


 いつまで経っても顔を出さないので所在を確認する王女。ライバルの動向は気になるらしい。


「まだ医務局にいると思いますよ。忙しくて手が離せないんじゃないかな?」

「ああ、彼女はお医者様でしたね」


『なんか、日に日に(たくま)しくなっていくような気がする』すっかりクルーの顔になっている王女が心配になるシュール。


「そういえば、バーネットの出身星がどこか聞いてるか?」マーティに聞かれ「いや、まだだけど」

「確認しといたほうがいいぞ。もし反対のほうへ来てたら、早めに帰したほうがいいからな」


「そうだな。様子を見るついでに確認するよ」コーヒーを飲み干すと、リビングから出て医務局へ向かった。


 総合監視ルームへ行くと、バーネットはコンピュータの前に座ってデータをインプットしていたが、入ってきたロイに気付き「どうしたの?」と聞いてくる。


「忙しい?」

「大分落ち着いてきたわ」


「そうか。ティータイムの時間なのに顔を出さないから、様子を見にきたんだ」

「あら、もうそんな時間?」腕時計を見る。


「手が離せそうだったら、少し時間を取ってくれないか?」

「いいけど、何かあったの?」


「ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「そうなの。じゃあ、これだけ入力してしまうから、先に休憩室へ行ってて」


 総合監視ルームから出ると、通路奥にある休憩室へ向かう。


『ねえ、もし反対のほうへ来てたら、すぐに帰すの?』シュールが聞いてくるので「できればそうしたいけど、医局長から延長乗艦させてほしいと言われてるから、仕事の進み具合をみて決めることになるな」


『となると、バーネットを先に追い出すのは無理か』作戦でも練り直すのか、考え込む。


 しばらくして、バーネットが二人分のコーヒーを持って入ってきた。


「どうぞ」ロイにカップを渡すと向かいに座る。

「これ、インスタントじゃないよね?」香りを()ぐと「レギュラーよ。私が淹れたの」

 一口飲むと「ン、相変わらずおいしい」


「サントス好きでしょう。ちょうど豆があったから。で、聞きたいことって何?」

「ああ。本当は、君を乗せるときに聞かないといけないことだったんだ、君の出身星」


「あら、言ってなかった?」

「ああ、聞いてないよ」


「でも、聞いてどうするの?」

「反対のほうに来てたら、帰るのが大変だろう?」


「その事だったら気にしなくていいのに」

「心配してる人達のことを考えなきゃダメだよ」

「父に話してあるから大丈夫よ」


「とにかく教えてくれないか? 艦に長く乗るからには、いろいろと手続きも必要になってくるんだ」

「それもそうね。乗艦パスの延長手続きをしてもらわないといけないし。私はバーニングゾーンの出身よ」


「エッ、本当!」ロイの驚きようを不思議に思い「なに? どうしたの?」

「いや、僕たちが向かってるところがバーニングゾーンなんだよ」

「エエッ!」今度はバーネットが驚く。


『すごい偶然、と言うべきなのかな?』気味の悪いものを感じるシュール。


「バーニングゾーンのどの星?」

「ルバーブ系、第五惑星ローゼルの衛星の一つ、シルバーデザートという小さな星よ」


「第五惑星ローゼル? もしかして、ゴールドデザート星の隣とか?」

「知ってるの!」

「マジかよ。ちょっと怖いぞ」ピンポイントで重なる偶然があるのか? と考えしてしまう。


「あんな小さな衛星を知ってるなんで、どうして?」

「その星に向かってるんだよ」


「本当なの! でも、何しに行くの? 自然保護の視察?」

「ちょっと探してるものがあるんだ」

「フウン、そうなの」


「ところで、ゴールドデザート星に知ってる人がいるかな?」

「叔母が住んでるわ」


「本当? 着いたらその人を紹介してくれないかな?」

「いいわよ」

「ありがとう。助かるよ」


「じゃあ、私はこのまま乗ってていいのね?」

「もちろん。出身星まで送ることになるからね」


「よかった。これで降りろと言われなくて済むわ」

『う~ん、追い出さなくてよかったのか?』悩みだすシュール。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ