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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
215/1021

49-3 意外な真相

 

「その後、王子の部屋へ戻ったんですね?」


「……そうですわ。戻る間、わたくしは、何もお話できませんでした。王子も話し掛けてきませんでしたし。でも、お部屋に戻った後、わたくし、思い切ってお話しましたの。研究室で行われていることはとてもいけないことですし、見過ごすことはできませんでしたから」


「王女はとても強い方ですね。相当ショックを受けたでしょう? それなのに、勇気ある行動ができるなんて、すごいですよ」


「わたくしも、最初はどうしたらいいか、わかりませんでしたわ。でも、麻薬を作ることは、どんな理由を付けても正当化できませんもの。何とかして止めなければいけないと、思いましたの」


「そのとおりです。王子は何と言いましたか?」


「複雑な表情をされて、何もおっしゃいませんでしたわ。王子にも、どうしたらいいのか、わからなかったのだと思います。だから、わたくしに見せたのだと思いますわ」


「そうですか。王子は誰にも相談できなくて、一人で苦しんでたんでしょう。考えた挙句、昔から懇意ある王女に見せることにした」


「そうだと、思いますわ」

「しかし、その後の王子の行動が逆になったはなぜだ?」

「その後、何が起こったんですか?」


「わたくしたち、どうやってこの事を解決したらいいか、話し合うことにしましたの。その時、王子がメイドに飲み物を持ってくるよう伝えて、落ち着くために飲みましたわ。でも、少ししたら体が重くなってきて、わたくしたちは動けなくなってしまいましたの」


「紅茶に何か仕掛けがしてあった」


「そうだと思いますわ。意識がモウロウとしてきたころ、ボディガードらしい男が数名入ってきて、わたくしは担がれ、あのエレベーターに乗せられて、再び研究所へ運ばれました。そして、ある部屋へ連れていかれて、何か薬を打たれた後、気を失ってしまいましたの」


「ここから今回の事件が始まったのか」なるほどと(うなず)くロイ。


「王女に秘密を知られたからには、このまま返すわけにいかなくなった。しかし、長く監禁するわけにいかない。そこで、どうしようかと策を練った」筋書きを考えるマーティ。


「まず、王子をどうにかしなければならなかったはずだ。

 王女を監禁したと知れば、何をするかわからなかっただろうからな。

 王子が王女に好意を持ってることを知ってたので、二人を結婚させてしまえば、王宮内に閉じ込めておくことができる。

 この話を持ちだして王子を納得させたんだろう。しかし王女は一人娘。勝手にそんな事したら問題になるんじゃないか?」


「両方の星を二人が統治すると持ち掛ければ、問題ないよ」

「なるほど」


「王子は、それでいい、思った、かしら?」複雑な心境になるアニス。「王女と結婚。だけど、王女、ずっと監禁、される。誰にも、会えない。王子、それでいい、思った、かしら?」


「もしかしたら、王女を逃がすチャンスを作ろうとしたのかもしれないな」

「そんな事したら、自分の親を裏切ることになるぞ」

「その覚悟はできてたんじゃないか? だから王女を研究室へ連れてったんだ」


「自分からは親の悪事をバラせない。だから、昔から懇意(こんい)のある王女に話し、王女の父親から説得してもらおうと考えたというのか?」


「そのほうが自然だろう?」

「王子は、お心を痛めていましたわ」


「今頃、あなたが解放されてホッとしてるんじゃないですか?」そう言われて、複雑な顔をする。


「とにかく、これで全貌(ぜんぼう)がわかりました」

「王子はどうなってしまいますの?」


「イノンドに話しておきますから、心配しないでください」

「ありがとうございます」ホッとして笑みを浮かべる。


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