49-2 意外な真相
「王子は、あの研究所で行われてることを知ってたのか」
「僕たちが地下牢へ連れていかれたとき、星王たちと一緒に来てたから、王宮から研究所へくる方法は知ってただろう。どうやって研究所で行われてることを知ったのかは本人に聞かなければわからないけど、こっそり来て、研究室へ潜り込もうとしたのかもしれない。けど、あそこはカードキーと七桁の暗証番号がないと入れない。どうやって手に入れたんだ?」
「俺たちと同じように潜り込んだんじゃないか。そのくらいのことはやるだろう」
「そうかもしれないな。それで、その後どうしたんですか?」先を聞くと「王子が乗ってらした宇宙船に乗り換えました。わたくしが乗っていた船は、予定どおり回遊を続けることになっていましたから」
「ということは、王子は王女に見せた後、船に戻すつもりでいたのか」
「船に戻れなかったのは、途中で戻れない何かが起こったということだ」
「で、その後、ウッドラフ星の王宮に向かったんですね?」
「はい」
「では、そこから話してください」
「王宮へ着くと王子の部屋へ通されて、これから行くところは秘密の場所だから、なるべく声を出さないようにと言われましたわ。見付かったらすごく怒られてしまうからと。そして、部屋から出ると北エントランスの倉庫へ入って、中にある緊急用エレベーターで地下へ向かいましたわ」
「あなたたち二人だけで行動したんですか?」
「船を下りるまではお付きの方が何名かいらっしゃいましたけど、王宮へ行った後、エレベーターで地下へ行くときはわたくしたち二人だけでしたわ。他の方にお話しすると、行くことを止められてしまうとおっしゃって……」
「なるほど」
「エレベーターから降りると更衣室へ連れていかれました。そこで白衣を着るよう言われ、髪型も変えて変装しましたの」
「研究室へ入ったんですか!」
「……ええ」
「どうやって入ったんですか? 研究室への扉は専用のカードキーと暗証番号が必要なんですよ」
「……王子が、お持ちでしたわ」
「どうやって手に入れたんだ? 誰か手を貸してる者がいるのか? それとも、王子も加担してたのか?」
「星王の事情聴取から、王子には知らせてなかったということで釈放されてる。管理局も確たる証拠がなかったので、保護観察として行動を制限してたが、今となってはかなり怪しいね」
「加担してたと考えるのが妥当だが、行動が伴わないな」考えるマーティ。
「それからどうしたんですか?」先を促すロイ。
「研究室内を……一通り……見て……回りましたわ……」
「あれを見たんですか!…… 驚かれたでしょう?」
「……とても……残酷な……光景でしたわ……」思い出して目を閉じる。
「王女にはキツすぎる場所だ。ショックを受けるのは当然だろう」
「その時、奥の精製工場を見たんですね?」
「……ええ。わたくしは、麻薬を作っているのだと、思いましたわ。入るときのものすごい装備。工場では干し草を精製していましたし、あれだけの研究室があるということは、新しい麻薬を開発して、その効果を試すために……人体実験を……しているものと……思いましたの……」
「大方の予想は合ってるな。ただ、もっとひどいものを造ってたわけだが」
「それで、その後どうしたんですか?」
「研究室から出ると、更衣室へ戻り、変装を、解きましたわ」




