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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
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47-2 台風の消去法

 

 作戦会議室に戻ると、負傷した右脚を(かば)いながら椅子に座る。


「ロイ、怒った、初めて、見た」コーヒーを持ってくるアニス。

「俺だったらとっくに追い出してる」カップを受け取ってロイの隣にゆっくり座るマーティ。

「彼女たち、エル、感謝、するべき」ロイとエルにカップを渡してマーティの隣に座る。


 向かいに座り、黙ってコーヒーを飲むエルに「なぜ彼女たちに助け舟を出した?」


 マーティが理由を聞くと「あのまま追い出しても止める気配がなかったからだよ。きっと、他の船に移っても続ける。たとえ二人を別々の船に乗せてもね。そうなったら、他の誰かが迷惑を(こうむ)るだろう? だったら、ここで止めるよう、(きゅう)()えるのが得策と思ったんだ」


『なるほど。確かに一番いい方法だと思う』納得するシュール。

「まあ、()りただろうから、もう止めるだろう」


 ロイが黙っているので『ねえ、もう夕方だから、仕事しないで外へ遊びに行こうよ』シュールが気分転換を進めると「エル。急ぎの仕事はあるか?」マーティが確認する。


「そうだね」持っているタブレット内のデータを見ると「来月分の、物資補給金の書類にサインが欲しいな。今日中に回してほしいって経理から催促(さいそく)されてるんだ」

 タブレットをマーティに渡すと目をとおし「これでいいんじゃないか?」ロイに渡すと内容を見て「そうだな」付属のペンでサインをするとエルに返す。


 エルは受け取ると「他にはないよ」サインを確認して送信するので「では、今日はここまでにするか」マーティがコーヒーを飲み干す。


「ロイ。マーティと、外、食事、行ったら?」

「エッ?」アニスを見ると「こっち、大丈夫。行ってきて」

「でも」


「たまに、いいと思う。でも、薬、飲んでる、お酒ダメ」と言ってエルを見ると「行ってきたら。気分転換になるよ」


『行ってきなよ。たまには息抜きも必要だよ』

(シュールまで)


「では、お言葉に甘えて、うまいものでも食べにいくか」席を立つマーティ。


「でも」戸惑うロイに「行ってきなよ」声を掛けるエル。「いつまでも、そんな顔は見ていたくないよ」

「僕よりエルのほうが息抜きが必要なんじゃないか?」


「僕は適当にしてるから」

「剣、預かる」アニスが手を出す。


「でも」

『行ってきなよ。今日はアニスと一緒にいるから』

(シュール)


「ロイ、剣」再度手を出すアニスに剣を渡すと「おやつ抜きは艦の中だけだから」エルがタブレットを見ながら(つぶや)くので「何だって?」戸惑うロイに「今夜だけお許しが出たから、食べに行くぞ」嬉しそうなマーティと一緒に会議室から出ていく。


 この日の夜、ロイに怒られたのが効いたらしく、王女とバーネットは大人しくしていた。


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