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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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4-3 魔獣の森


 次の日は朝八時に朝めし食って、車を点検した後、また森へ入ったんだ。

 ところが、今度はいきなり土砂降り。


 マジかよって思いながらも遅れるわけにいかないから、頑張って走ってたんだけどさ。進むほどひどくなって、とうとう視界ゼロになったから車を停めたんだ。


 完全にお手上げ。


 どうしようかって話してたらちょっと雨が弱くなってきて、周りが少し見えてきたら、男の子が車の前に現れたんだ。


 俺たちのところまで来ると……」


「森を怒らせたのお兄ちゃんたちだね? なにしに来たの?」

「森が怒る?」


「そうだよ。お兄ちゃんたち、この森を壊しにきたんでしょう?」

「イヤイヤ、その逆だよ。俺たちはヴィラパス系を守るために活動してるんだ」

「ヴィラパス系を守る? どういうこと?」


「今度、旧鉱山の発掘現場と未開拓の場所を整備して、リゾート系星として売り込むことが決まったんだ。ミッド系の統治者がもっと私腹を肥やそうと、宇宙環境委員会のメンバーに金を掴ませて、無理やり決めちまったらしいんだ」


「そうなると、森はどうなるの?」

「切り開かれてあちこちにホテルが建ち並び、わんさかと観光客が来るだろうさ」


「森がなくなっちゃうの?」

「なくなりはしねえだろうけど、かなり縮小されるだろうな」


「そんな! 僕たち何も聞いてないよ!」

「あの統治者が律儀に説明しに来るわけないだろう」

「そんなのひどいや!」


「だろう? だから、その情報を掴んだ俺たちは、この機会に独立計画を実行しようと思ったわけだ」

「独立?」

「そうだ。俺たちの系星だ。勝手にメチャクチャにされて黙ってられるか?」

「僕、怒るよ!」


「だろう? しかし、独立を成功させるためには、戦いに勝たなければならない。集めた情報によると、あの統治者は薬物に詳しい人物をたくさん集めて恐ろしい細菌兵器を作り、客がこっちに来るよう、有名なリゾート系星を壊滅しちまったらしいんだ」


「何だって!」ロイは大声をだし「その細菌兵器はどんなものなんだ!」マーティに詰め寄ると「エッ? あ、ああ、詳しくはわからないが、物質を石化させるものらしい」


「……そうか」考え込むので「どうした?」

「いや、その話はあとでする。そっちの話を先に聞くよ」


 

「そんな細菌をばら撒くような奴が相手だ。しかも、向こうはすでに動きだしてる。

 戦うには万全な準備が必要だろう? だから、いかなる事態にも対処できるように、秘密基地を造ることにしたんだ」


「その基地を、あの三角山に造ることになったの?」

「なんで知ってんだ?」

「だって、あの山の麓に人間がたくさん集まってるから」

「よく気付いたな。そのとおりだ」


「どんな基地を作るの?」


「地下基地だ。

 秘密だから、バレないようにしないといけないだろう?

 ああ、自然を壊さないよう配慮はちゃんとするぞ。各処理施設は最新のものを取り付ける。


 車だって、このトラックのように電気自動車で公害なし。

 資材もすべて自然素材でできてるから、汚染もなし。

 どうだ? 完璧だろう?」


「まあまあかな」


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