表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
204/1021

43-2 事後処理の副産物

 

「口の利き方を知らない女だ。無礼にもほどがある」側近たちは憤慨(ふんがい)しているが、王女はニッコリ笑って「ロイ様。お父様がわたくしたちの帰りを、首を長くして待ってますわ。わたくしと結婚なされば、もう旅を続ける必要はなくなりますわ」


 ロイの(そば)に来るので『コラ! ロイにくっつくな!』シュールがいくら怒鳴っても今の王女に聞こえるはずがなく、当然、離れるわけがない。


『離れろって言ってるでしょう!』


「王女。申し訳ないのですが、この話はお受けできません」


「エッ、なぜですの?」衝撃(しょうげき)を受け、泣きそうな顔をすると「先ほど、わたくしのことはお嫌いでないとおっしゃったではありませんか」


「ロイ殿! 何を申されるのですか!」側近たちも驚き、詰め寄る。


「嫌いでなかったら即結婚、というのは極端すぎませんか?」

「わたくしと結婚なされば、不自由なく暮らせるのですよ」


「王女は一人娘ですよね? 僕も一人息子なんですよ。今はまだ父の跡を継ぐかどうかわかりませんが、他の星へ行くことはできません」


「では、わたくしがラナタ星を出ますわ」


「何を言うんですか。あなたが星から出てしまったら、ラナタ星はどうなるんですか?」


「ロイ殿のおっしゃるとおりです。王女が星から出ていかれてしまったら、ラナタ星はどうなってしまうんですか?」二人の側近が王女を(はさ)んで(うった)えると「では、わたくしは、自分の幸せを考えてはいけないというのですか?」


「そういうわけではありませんが……」返答に困ると「とにかく、ロイ様がラナタ星に来ていただけないのであれば、わたくしが参ります!」宣言してリビングから出ていくので「王女!」側近たちが慌ててあとを追う。



『さっき、結婚は星のためとか言ってなかった? あれは建前(たてまえ)?』

(どこで建前なんて言葉を覚えたんだ?)


『どうするの? ロイ』

「どうもこうもないだろう。無理だと話すしかないじゃないか」


『そうだけど、なんか難しそうな気がする』

「まあ、星を出るという話になれば、向こうの親が黙ってないだろう」


『そうかもね。いっそ身分を明かしたら? あれこれ言うより早いかもよ』

「そのほうが危ない気がする」


『玉の輿になると張り切っちゃうかな』

(どこで玉の輿なんて言葉を耳にするんだ?)



 一時間後、台風の目の一つであるバーネットが荷物を持って戻ってきた。


「やはり、星に帰ったほうがいい」

「王女と結婚するの?」


「その話は断るよ」

「断れるの? 彼女の父親は星王(せいおう)なのよ」


「断るよ。ここで旅を終わらせるわけにいかないからね」

「そうなると、王女は付いていくと言うでしょうね」


「それは認めないよ」

「あなたは何もわかってないのね。相手は一星の王女なのよ。逆らえると思ってるの?」


「逆らうつもりはないよ。正当な理由を言って断るだけだ」

「そんなことが通ると思ってるの?」


「思ってるよ」言い切るので驚くが「あの王女が、生半可な説得に応じるとは思えないわ」

「王女の話は断るし、乗せ続ける気もない」


「なら、その場面を見届けさせてもらうわ」宣言してリビングから出ていくと、入れ違いにマーティが剣を持って入ってくる。


「あの様子じゃ、説得できなかったようだな」剣を渡すと『なんで()け者にするの!』

「シュールの声がうるさいからだよ。話ができなくなったら怪しまれるだろう」


『……じゃあ、大人しくしてる』

「ところで、バーネットは?」


「アニスが部屋に連れていった」

「そうか。けっこう尾を引くな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ