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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
203/1021

43-1 事後処理の副産物


「エッ?」バーネットは驚いてロイを見ると「王女と結婚するの?」

「僕も今、初めて聞いた」何が起こっているのか理解できていない。


『何を勝手に決めんのよ! ロイは旅の途中なんだから、こんな所で脱線しないよ!』怒鳴るシュールの声を聞いて(起きてたのか。(うるさ)くなるぞ)


「王女、彼は初耳だと言ってるけど」

「当然ですわ。パーティのことはお話ししていませんもの」


「そうじゃなくて、いつ、僕が王女と結婚すると決まったんですか?」

「今日ですわ」

「ハ? 今日?」


「先ほどお父様にお話ししたら、是非にとおっしゃってくださいましたの」

「それじゃ、王女が一方的に言ってるだけなのね」


「一方的ではありませんわ。ロイ様は命を()けてわたくしを救ってくださいましたし、わたくしに優しくしてくださいましたわ」

「あなたのためだけじゃなく、大勢の人のために彼らは動いたのよ」


「ロイ様は、閉じ込められているわたくしを救いに、危険を承知で研究所に潜り込んでくださいましたのよ」

「閉じ込められていたのはあなただけじゃないでしょう」


「やめてください! とにかく、僕は結婚しません!」


「ロイ様。ロイ様はわたくしのことがお嫌いなのですか?」

「王女の何が不満だと言われるのですか? ロイ殿!」


『今度はロイ殿?』新しく言葉をインプットするシュール。


「いや、そういうわけではありません」

『ロイ! あやふやな言い方したらダメ!』


「事と次第によっては暴言とみなします」

「そういう意味で言ったんじゃないですよ」


「彼が王女を助けたのは同情からよ。あなたは同情と愛情を()き違えてるわ!」

『バーネットの言うとおりだ!』


「そんなことありませんわ! ロイ様の優しさはウソではありませんでしたもの!」

「大抵の人は困ってる人に優しいでしょう? まったく、こんな一方的なこと、認められないわ」


「コラッ! 口を(つつし)め!」側近が怒鳴ると「フン!」とソッポを向く。

「あなたに認められなくても結構ですわ。お父様は認めてくださったのですから」


「あなたのお父様がどんな人であれ、彼の気持ちを聞かずに事を運ぶなんて、彼に失礼でしょう?」

『そうだ! ロイはオモチャじゃない!』


「いい加減にしろ!」と怒鳴る側近を止めると「とにかく、この事はラナタ星の星王であるお父様がお決めになったこと。あなた個人の意見など通りませんわ」


「私事に権力を使うなんて卑怯(ひきょう)だわ!」


「私事ではありませんわ! ロイ様が星王になれば、ロイ様の指導力を持ってラナタ星は安泰(あんたい)します。星が安泰すれば住民の生活も安泰します! これが私事になるのですか!」


「なんとお優しい方なのだろう。星のことを第一にお考えになっておられる。それでこそ我が星の王女だ」側近たちは感動しているが『何言ってんの! ロイはお父さんの跡を継いでファルネス系の統治者になるんだよ! 一つの星へお婿(むこ)になんか行かないからね!』


(ハハ、婿ね)


「とにかく、こんな自分勝手なこと認められないわ。私もラナタ星に行きます!」頭から溶岩を吹きだしそうな勢いのバーネット。


「どうぞいらしてください! そして、ぜひパーティに出席していただいて、わたくしたちの仲を引き()くことができないと実感していただくわ!」


「誰が実感なんかしますか!」

『私だってそんなこと認めないからね! ロイの旅を邪魔する奴は許さない!』


(シュール。そこで怒鳴っても、誰にも聞こえないよ)

『ロイに聞こえてるじゃないか!』

(うん、確かに)キンキンと、頭の中に彼女のどでかい声が響いている。


「そういうことなので、私も艦に乗せてもらうわ。荷物を持ってくるから、部屋を貸してちょうだい!」バーネットは肩を(いか)らせてリビングから出ていった。


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