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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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4-2 魔獣の森


「森のどこかに、強い磁力を発生させる物質があるのか?」


「いや。もしそうであれば、調査したときに発見されてるはずだ」

「季節や気象状況が関係してるんじゃないか? 雷なんかは磁力を作りだすからな」


「そうかもしれないが、その日は雷は鳴ってなかったし、調査したがわからなかった」

「それで、その後どうしたんだ?」


「計器が使えない状況で動いたら二の舞になる。そのため対策を練ることにした。

 ところが翌朝、磁気が消えて計器が正常に戻ってたんだ。


 磁気が消えた原因は結局わからなかったが、これで捜索を開始することができるようになった。

 ところが、朝食を作るために河に水を汲みにいってた仲間が、河岸に停まってる運搬車を見付けたんだ」


「近くまで来てたのか?」

「そうだ。しかも、運搬車の荷台に、山のように積まれた果物に囲まれて寝てた」


「その果物は、もともと運ぶ予定だった物資ではないんだろう?」

「もちろん。途中で採ったものだと言ってた」


「途中で採った? この森の中に果樹園でもあるのか?」

「俺たちが調べたかぎり、そんなものは確認されてない」


「それで、運搬車の作業員たちはなんて言ってたんだ?」

「それは……」


 

「昼の連絡をした後、森へ入った。

 しばらくは順調に走ってたんだけど、二時間くらいしたら、突然、霧が立ち込めてきたんだ。

 広大な森だから部分的に気象が変わってもおかしくないだろうと思って、さほど気にはしてなかった。


 沼や湖があれば発生するだろうし、霧はそんなに濃くなかったから、目印を見失わないように走ってたんだけどさ。

 先に行くほど霧が濃くなって、とうとう視界が一メートルくらいになったから、進めなくなっちまったんだ。


 これじゃ下手に動くと危険だから、霧が晴れるまで待とうとみんなで話し合ったんだ。


 車の中で、ついてねえなって話してたら、いつの間にか雨が降ってきてさ。

 そのお陰で霧が薄くなってきたから出発したんだけど、数分も経たないうちに土砂降りになって、また視界が悪くなった。


 これじゃ、さっきよりひでえじゃねえかって文句言いながら、慎重に運転したよ。


 それにしても大変だったぜ。

 急に風が強くなって(あお)られそうになったり、ぬかるみにタイヤを取られて立ち往生したり、倒れた木が道を塞いで進めなくなったり。

 その度、外に出て障害物をどかしてたから、レインコート着ててもびっしょり濡れて気持ち悪かったよ。


 その後、早く止むよう神頼みしながら走ったんだけど、一向に止む気配がなくて参ったぜ。


 そのうち日が暮れてきて、午後八時頃だったかな。疲れちまって、仕方ないからここら辺で一泊しようということになって、車を停められる場所を探してたら、森から出ちまったんだ。


 いつの間にか、来た道を戻ってたらしいんだ。


 もっと驚いたことに、森から出た途端、土砂降りの雨が止んだんだぜ。

 もうバカにされてるとしか思えなかったね。


 とにかく、この事を知らせようとしたらひどい電波障害が起きてて、通信機が使い物にならなくなってた。


 ガッカリしちゃったよ。今日一日何やってたんだろうって。くたびれもうけってやつ。

 腹立ったから、火を起こして服を乾かして飯食って寝たよ。


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