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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第五章 地下からの生還
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38 撤収

 

 アニスとバーネットは午後三時に起きると、集中治療室の隣の予備室に行った。


「イノンドは?」姿が見えないので近くにいる管理局の男性に聞くと「課長は対策本部から呼び出されて、ベースに戻ってます」代理として残っている捜索課の課員が、現在の状況を教えてくれた。


「集中治療室にいるお二人はだいぶ容体が安定してきたので、隣の治療室にいる方と一緒に、緊急車両が到着しだい病院へ搬送します」


 一時間後、緊急車両が到着すると、救急隊員と一緒にきたイノンドが搬送を確認し、治療した医師とバーネットが付き添いとして病院へ一緒に行くため、車両に乗り込むと、アニスはイノンドと一緒に艦へ戻り、エルに事情を話して一緒に収容先の病院へ向かった。


 その病院に到着すると、先に運ばれた三人は精密検査を受けていて、検査室前の椅子に座って終わるのを待っているバーネットが「治療してくれた医師の人達が説明してくれたから検査はスムーズに進んでるけど、もう少し掛かるわよ」

と言うので、エルはアニスに「イノンドと一緒に、ここで終わるのを待っててくれるかな。僕は二人の入院手続きに行ってくるから」と一階の受付に向かう。


 検査が終わったのが真夜中に近かったため、アニスとバーネットはソファに座ったまま眠ってしまったが、ロイが運ばれてくるとエルはイノンドと一緒に病室へ入り、担当医から説明を聞いた。


「適切な処置が行われたので命に別状ありませんが、出血が多かったので、そのショックがどのくらい影響するか、しばらく様子を見たほうがいいでしょう」


「あの、マーティは?」エルが聞くと「肋骨(ろっこつ)を折った方ですね? こちらも安静にしててもらわないといけませんが、一週間後くらいには退院できますよ」


「そうですか。ありがとうございます」


 担当医が出ていくと付き添っている看護師が「今夜は私たちが()てますから、お帰りになって大丈夫ですよ」と言ってくれたのでお礼を言って部屋から出ると、ソファで寝ているアニスたちを起こし、バーネットはイノンドと管理局の船にいき、エルはアニスと艦に戻った。



 翌朝、病室でマーティが目を覚ますと、クラリー夫人と彼女の友人数名が看病に来ていた。


「おはようございます。気分はどうですか?」

「どうして、ここに?」


「まだ動かないでください。あなたたちが大ケガをして入院したと聞いたものですから、ジッとしていられなくて、エルさんに頼んで連れてきてもらったんですよ」


「エル、来てるん、ですか?」

「ええ。今、担当医から詳しい説明を聞いてますよ」

「そう、ですか」


「無理に動かないでくださいね。肋骨(ろっこつ)が三本折れてるそうですから」

「迷惑、かけて、すみません」

「いいんですよ。気にしないでください」


 一方エルは、昨夜、話を聞いた担当医から、ロイの状態について詳しい説明を受けていた。


「脚のほうは大動脈にも異常がなかったので、傷口が(ふさ)がれば大丈夫でしょう。しかし、腕のほうですが、神経には異常ありませんでしたが、筋が少し切れていたので、回復するまで時間が掛かると思います。それと、リハビリが必要ですね」タブレットでカルテを見ながら説明する。


「後遺症が残るでしょうか?」


「腕はリハビリ次第でしょうね。まあ、そんなに深刻な状態ではないので、大丈夫じゃないでしょうか。日頃から体を(きた)えているようですから、リハビリを始めたら、回復するまでそんなに掛からないと思いますよ」


「そうですか。では、よろしくお願いします」お礼を言うと部屋から出る。


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