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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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3 秘密基地

 

 通路を歩いている途中、ふと気になって「なぜ誰も来ないんだ?」隣のマーティに聞くと「わからない。何か起きてるのかもしれない」右脚を(かば)いながら早足になる。


 総合監視室前にいくとドア横に立ち、銃を構えて中に入ると、突然の乱入に、中にいたメンバーが一斉に振り向く。


「誰だ!」


 ひときわ背の高い、赤茶けた短髪の男が銃を構えるが「マーティ!」銃を降ろすと「お前、無事だったのか。まったく、ビックリさせるなよ」しかし、足を引きずる姿を見て「なんだ、ケガしたのか?」


「大したことない」中央テーブルの椅子に座り「奴らを混乱させるために流星群に突っ込んだんだが、奴らのほうが一枚上手で、撃ち落とされた。そこを彼の艦に助けられたんだ」ロイを見ると「少しでも力になればと思い、付いてきました」


「アルバスです。マーティを助けていただいてありがとうございます。お心遣い、感謝します」

「ロイです。ところで、メンバーは全員無事ですか?」


「そうだ。セージはどうした?」


「奴の宇宙船は逃げる途中で受けたダメージがひどくて、ここまで持たなかった。一つ手前の基地にいる」


「あの基地には予備の長距離船がない。ここまで来られないのか?」

「無理だ。ケガ人が多くて身動き取れないらしい」


「こっちから出向くしかないのか」

「だが、俺たちのほうもケガ人が多くて、迎えに行くことができないんだ」


「この基地の安全度は今、どのくらいありますか?」ロイが話に入ると、アルバスは考えながら「そうだな。安全度は低いだろう。三十から四十パーセントあるか、くらいだな。寝返った同士から基地の情報がもれる確率が高い」


「そうなると、残された時間はそんなにないと考えたほうがいいのか……」

「そうだ」


「この状況で取れる選択肢は?」

「見付かるのを待つか、自決するか……」


「ケガ人を見捨てて、動ける者だけで逃げるか」付け足すとマーティとアルバスが振りむき「確かにそれも選択肢の一つとなるだろうが、俺たちにはない!」キッパリ言い返すアルバスに「そうなると、今のままでは未来はないわけだ」


 しばらくの間、沈黙が訪れる。


「アルバス。向こうの基地にいる人数は把握(はあく)してるのか?」沈黙を破ってロイが話を進めると「それは確認してある」


「彼らを運べるだけのトラックは?」

「ある。だが、救助に行ける人数が足らない」


「では、僕らが行く」

「いや、それはダメだ」


「この状況で議論してる時間はない。時間が経てば不利になっていくだけだ」

「それはそうだが、君はここがどんな所か知らないだろう?」


「何か危険なことがあるのか?」

「まあな」


「では、その危険を回避(かいひ)するために、詳しい人に同行してもらう」


 するとアルバスとマーティは顔を見合わせ、考え込むが「俺が同行する。アルバス、今の俺たちにはなす術がない。虫が良すぎるかもしれないが、ここは助けてもらうほうがいい。一緒に立ち上がってくれた同士を助けることが優先だ」


「もうすぐ日が暮れる。偵察機のことがあるから、動くなら夜のほうがいい」ロイの言葉に押され「わかった。すぐに輸送車を手配する」


 滑走路に残してきたクルーと一緒に一階の車庫へ向かうと、大型輸送車が数台、出発を待っていた。


 先頭車の後部座席に乗りこむロイが隣に座るマーティに「ここからその基地まで、どのくらい掛かるんだ?」と聞くと「そうだな。五時間くらいだろう」


「すると、今、午後六時だから、順調にいけば午後十一時頃に着くのか」通信用のインカムを付けて腕時計を見ると「無茶するな。死なれたら困る」


「それはお互いさまだろう?」


 各車両にメンバーとクルーが分散して乗りこむと、鬱蒼(うっそう)とした森の中へ入っていく。


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